東京都 新型コロナ 最多の493人感染確認 8月1日の472人上回る

東京都は18日、都内で新たに493人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。
都内で1日に確認される人数としてはことし8月1日の472人を上回ってこれまでで最も多くなり、都の担当者は、「強い危機感を持たなければならない」としています。

東京都は、18日、都内で新たに10歳未満から90代までの男女合わせて493人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

都内で1日に確認される人数としてはことし8月1日の472人を上回り、これまでで最も多くなりました。

年代別では、
▼10歳未満が6人、
▼10代が20人、
▼20代が123人、
▼30代が92人、
▼40代が89人、
▼50代が66人、
▼60代が39人、
▼70代が30人、
▼80代が25人、
▼90代が3人です。

このうち、40代と50代はこれまでで最も多くなりました。
また、65歳以上の高齢者も77人でこれまでで最も多くなり、若い世代の感染が多かったいわゆる第2波と違って全世代に感染が広がっていることを伺わせています。

一方、都が、毎日分析している「モニタリング項目」のうち、感染確認の7日間の平均は18日で335人となり、今月1日の169.3人の2倍近くになりました。

感染経路がわからない人の7日間平均は、191.9人で、今月1日の91.4人から2倍以上に増加しています。

陽性率も上昇が続いていて、18日発表された、17日時点の陽性率はことし9月以降では最も高い5.8%でした。

18日確認された493人のうち、▼およそ43%にあたる210人はこれまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、▼残りのおよそ57%の283人はこれまでのところ感染経路がわかっていないということです。

濃厚接触者の内訳は、▼「家庭内」が最も多く79人、次いで、▼「施設内」が50人、▼「職場」が36人、▼「会食」が12人、などとなっています。このうち家庭内では、10歳未満から80代の幅広い年代で感染が確認されています。

施設内では、中央大学の複数の運動部で、部員や関係者、合わせて16人の感染が確認され都は、共同で生活する寮などで広がった可能性があるとしています。

都の担当者は、「検査数が増えたことが感染の確認の増加につながっているとも言える。8月ごろとは違い中高年への感染が広がっている特徴があり、状況が変わっている。強い危機感を持たなければならず、高齢者の感染を防ぐために注意が必要だ」としています。

これで都内で感染が確認されたのは合わせて3万5722人になりました。

また、18日は死亡が確認された人はいませんでした。

入院や重症の数は

都内で18日までに感染が確認された3万5722人のうち、入院中の人は17日より73人増えて1354人です。

入院患者のうち都の基準で集計した重症の患者はきのうより3人減って39人です。

都は18日の時点で、重症の患者向けの病床を150床、中等症以下の患者向けの病床は2490床を確保しているということです。

また、自宅で療養している人は17日より10人増えて481人です。

都が開設・運用している9つのホテルなどで療養している軽症や無症状の人は17日より15人増えて607人でした。

このほか、医療機関に入院するか、ホテルや自宅で療養するか調整中の人は17日より175人増えて582人です。

一方、すでに退院した人や、自宅などでの療養が終わった人は3万2222人となっています。

小池知事「重症者数をいかに抑えるかだ」

東京都の小池知事は記者団に対して、「もうひとつ過去最多がある。検査数が8600くらいいっている。検査をすることで無症状の人も陽性だとわかってくる。今後、陽性者数は増えると思うが基本は重症者数をいかに抑えるかだ。重症者はきのうから3人減って39人だ」と述べました。

そのうえで、「Go Toイート」をめぐり、政府が感染の拡大が見られる地域では5人以上など、一定の人数以上での利用を対象外とするか検討するよう、都道府県に要請していることに関連して、「あまり大人数で行くことは推奨しない。大声になるし、大声でわいわいしないという意味では方向性はあっていると思う」と述べました。

都幹部「ピークに向かう途中」

東京都の幹部はNHKの取材に対して「国のGo Toキャンペーンなど、いろいろやっていれば増えていくのはしかたないと思う。今はまさにピークに向かっている途中で、500人に達するのも時間の問題だ」と話しています。

また「最近は若い人が感染することを気にしていないのではないか。それが気になる」として、すべての世代で感染防止策の徹底が必要だという認識を示しました。

経団連 古賀審議員会議長「経済活動続けながら感染防止を」

18日に東京都内で、1日としては最も多い493人の新型コロナウイルスへの感染が確認されたことについて、経団連の古賀信行審議員会議長は「危機感を持たなければならない状況だ。しかし、社会として感染防止だけを考えるわけにはいかない。経済活動を続けながら感染が拡大しないように、最大限に配慮をする具体的な方法を議論していきたい」と述べました。

都内小児科「熱が出たとき怖い」

東京都内で新たな感染者の確認が過去最多となるなど、各地で新型コロナウイルスの感染確認が相次いでいることを受け、子どものインフルエンザの予防接種のためにクリニックを訪れていた親からは感染拡大への不安のほか、実感があまり無いという声が聞かれました。

東京・西東京市の小児科と内科のクリニックにはインフルエンザの予防接種を予約していた親子が次々と訪れていました。

小学2年生の娘の予防接種のために訪れた40代の母親は「ワクチンがなくならないか心配だったので、例年より1か月ほど早く受けました。熱が出たときに新型コロナかインフルエンザか、区別がつかないのが不安です」と話していました。

また、生後6か月の子どもと夫とともに予防接種を受けた30代の母親は「感染者数の増加はちょっと怖いですね。新型コロナウイルスに対するワクチンがないのと、ゼロ歳児なのでうつらないようにしないと、と思っています。熱が出たときにその理由がわからないのが怖いですね」と話しています。

また、小学生と保育園児の予防接種のために訪れた40代の母親は、「ニュースでは毎日、感染確認者の数が増えているので怖いなと思うものの周囲に感染したという人がいないので、あまり実感が無いというのが正直なところです。『休園や休校にさせてしまったらどうしよう』という変な不安もあって鼻水が出ただけでも敏感になっています」と話していました。

このクリニックでは、予防接種の申し込みが例年の2割ほど多いため、一時的にワクチンが足りない状態が続き予防接種の予約を断らざるをえないケースも出てきているということです。

さいとう小児科内科クリニックの斉藤喜親院長は「高熱が出た場合はインフルエンザと新型コロナウイルスの両方の可能性があると考えて家庭内で隔離するなどの対応を取ってほしい。思い込みは危険なので、もしわからないことがあればかかりつけ医に電話するなどしてください」と話していました。

専門家「東京は対策強化を」

新型コロナウイルスの感染状況について感染症に詳しい国際医療福祉大学の和田耕治教授は、「先月下旬から新たな感染者が増加傾向にあったが、対策については特に強化はされていなかった。このため東京都で500人近い感染者数が出るというのは予想の範囲内と言える。今後、入院が必要な患者が急増することも予測されるので改めて病床を確保するなど対応が求められる」と指摘しました。

また、東京都内の今後の対策について、和田教授は「『第2波』となった8月にかけての時期と違い、冬場を迎えたことで室内で過ごす機会も増えるなどしているため、これまでよりも感染対策を強化する必要がある。例えば、行政が飲食店に対して営業時間の制限を設けることや企業側に会食を控えてもらうよう要請することなどの対策を検討することも必要ではないか」と話していました。

そのうえで、引き続き、一人ひとりが日々の生活の中で感染対策をとることが重要だとして、「感染が拡大している地域では、自分が感染することも逆に相手を感染をさせてしまうこともありえるという自覚をしっかり持つ必要がある。家族以外での会話を伴う食事はなるべく避け、3密の回避や手洗い徹底など、感染リスクを下げる行動を徹底してほしい」と呼びかけました。