新型コロナ 各地で異なる“ステージ”分け

政府の分科会は、感染状況をステージに分けてそれぞれに応じた対策を取る考え方を示していますが、各都道府県も独自に感染の段階、ステージを示していて、両者は必ずしも一致しないため、整理して考える必要があります。

政府の分科会のステージ

政府の分科会は、感染状況について、ことし8月、
▽感染が散発的に起きている「ステージ1」
▽感染が漸増、だんだん増えている「ステージ2」
▽感染が急増している「ステージ3」
▽爆発的に拡大している「ステージ4」
の4つのステージに分ける考え方を示しました。

そして、ステージを判断する指標として、
▼「病床のひっ迫具合」
▼「療養者数」
▼「PCR検査の陽性率」
▼「新規感染者数」
▼「直近1週間と前の週の感染者数の比較」
▼「感染経路が不明な人の割合」
の6つの項目を挙げています。

たとえば、「ステージ3」にあたるのは、
▼「病床のひっ迫具合」が患者向けの全体の病床数か、重症者用の病床数について最大確保できる5分の1以上が埋まっているかその時点で確保している4分の1以上が埋まっていること、
▼「入院患者と宿泊施設や自宅で療養している人の数」が10万人当たり15人以上、
▼「PCR検査の陽性率」が10%、
▼「新規感染者数」は1週間で10万人当たり15人以上、
▼直近1週間の感染者数が前の週よりも多いこと、
▼「感染経路が不明な人の割合」が50%としています。

ステージ3では強い対策も

政府の分科会は、「ステージ3」にあたる都道府県では、酒を提供する飲食店の利用の自粛要請や、感染予防を徹底できないときは県をまたいだ移動の自粛を徹底するなど、強い対策を行う必要があるとしていて、尾身茂会長は11月12日の記者会見で、政府の消費喚起策「GoTo キャンペーン」も含めた経済活動の抑制が必要になるという認識を示しています。

多くの都道府県で独自の“ステージ”

一方で、多くの都道府県は、これとは別に感染や医療体制の状況を分析し、対応を判断するための段階、ステージを独自に設定していて、異なるステージが混在する状態になっています。

このうち、北海道は、医療体制への負荷や1週間で新たに報告される患者の数などに応じて、「警戒ステージ」を「1」から「5」に分けて対応を判断しています。

道は、独自のステージが国の分科会が示したステージではどこにあたるのか参考に示していて、北海道の「ステージ2」と「3」は国の「ステージ2」に、北海道の「ステージ4」は、国の「ステージ3」に、北海道の「ステージ5」は国の「ステージ4」に相当するとしています。

また、東京都は、新規感染者数や検査での陽性率、重症患者数など7つの項目を「モニタリング項目」として定め、その数値をもとに、感染や医療体制の状況が4つの段階のどこにあたるか、1週間ごとに専門家の会議で判断しています。

都は、モニタリング項目の数値が、国のステージではどの段階にあたるのかも示していて、今月11日現在で新規感染者数と検査の陽性率は、国の指標の「ステージ2」相当に、それ以外の5つの数値は「ステージ3」にあたるとしています。

このほか、大阪府には、独自の「大阪モデル」があり、直近の1週間に新たな陽性者が120人以上の場合などに「黄色」の信号、重症患者を受け入れるベッドの使用率が70%以上になった場合に非常事態とする「赤色」の信号を点灯するとしています。

大阪府では、「黄色」が点灯する状態が続いています。

混在する“ステージ”役割に違い

“ステージ”が混在していることについて、分科会のメンバーで日本感染症学会の舘田一博理事長は、「国のステージは、全国共通の対策について、地域ごとに検討する際に必要である一方、都道府県ごとの独自のステージは、地域によって大きく異なる医療体制の状況を反映して決められており、役割が異なる。混乱することもあるかと思うがまずは各地域の指標と、それをもとに発信される知事などからの呼びかけに注意してほしい」と話しています。