【データで見る】“第3波” 第2波との違いは 新型コロナ

新型コロナウイルスは、東京などの大都市部だけでなく、北海道など気温が下がってきた地域などでも感染が広がるなど、今月以降、感染拡大のペースが速くなっていて、感染の“第3波”とも言われるようになっています。
新規の感染者数や重症患者数は、夏に拡大した感染の第2波のピークを超えました。
感染の第2波と比べると、重症化するリスクが高い、高齢者の割合が増える傾向が見られているほか、クラスターが多様化し、行政の対応が難しくなってきているとして、専門家は、改めて基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけています。

【全国の新規感染者】第2波のピーク上回る

7月初めから、東京を主な起点として拡大した感染の第2波では、全国の新規の感染者数は8月7日に1605人、当時、1週間平均では1300人を超え、ピークを迎えました。

一方、今月に入っての感染拡大では、10月下旬まで500人余りだった感染者が、およそ半月の間に、今月14日には1736人、1週間平均でも、およそ1400人となり、第2波のピークをすでに上回っています。

【年代別割合】60代以上が第2波の2倍以上に

また、感染者の年代別の割合についても、重症化しやすいとされる60代以上の割合が、第2波より高い傾向が見られています。

たとえば東京都では、第2波で感染者が急増した7月には、
▽10代以下が4.6%
▽20代が43.1%
▽30代が24.0%と、30代以下が70%以上を占め
▽40代は12.7%
▽50代は7.5%
▽60代以上は8.2%と、高齢者は比較的少ない状態でした。

一方で、今月は16日までで、
▽10代以下が7.7%
▽20代が25.3%
▽30代が19.8%と、30代以下は半数ほどに減り
▽40代は16.5%
▽50代は13.6%
▽60代以上は17.1%と、特に60代以上の占める割合が、第2波の2倍以上になっています。

大阪府でも同様の傾向で、60代以上の割合が、
▽7月には9.5%だったのに対し
▽今月は25.8%と、高くなっています。

【入院・療養している人】今月15日には1万2358人に

一方で、入院や療養している人の数は、第2波では、6月下旬のおよそ700人から急激に増え、8月10日には1万3724人と、1か月余りで20倍近くになりました。

その後、徐々に減って、10月下旬には5000人ほどになりましたが、十分減りきらない中で感染が拡大し、今月15日には1万2358人となっています。

【重症者】第2波のピーク超える

重症患者も同様の傾向で、第2波では、感染者のピークから2週間余りたった8月24日に259人と最も多くなったあと、10月5日には131人まで減りましたが、十分に減らない中で感染が拡大し、17日に272人となり、第2波のピークを超えました。

【死者】今月に入り10人をやや上回る日多く

また、死者は、第2波では、
▽8月18日に16人
▽8月28日に20人が報告されたあと、10人を下回る日が多くなっていましたが、今月に入っては、
▽10日に15人など、10人をやや上回る日が多くなっています。

専門家「クラスターが多様化 基本的な対策の継続を」

このほか、厚生労働省の専門家会合によりますと、第2波では、感染者の集団=クラスターは、大都市圏の接待を伴う飲食店や、職場での会議などが多かったのに対し、今月以降は、会食や職場に加えて、地方の歓楽街や外国人のコミュニティー、それに医療機関や福祉施設などと多様化し、地域への広がりも見られるとしています。

日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「第2波の際には、感染の広がりが特定の地域に限定され、ターゲットを絞って対応できたが、第3波では、クラスターが多様化し、対応が難しくなってきている。今後、医療機関や高齢者施設などを巻き込んで、さらに大きなクラスターに発展するおそれもある」と指摘しています。

そのうえで「感染が続き、疲れや緩みが出た人もいると思われるが、改めて一人ひとりが、感染リスクを避ける行動を取る必要がある。3密を避け、マスクの着用や消毒、換気といった基本的な対策を続けてほしい」と呼びかけています。