北海道 感染拡大で自粛要請へ 札幌で不要不急外出 他地域往来

新型コロナウイルスの感染者が急増していることを受けて、北海道は対策本部会議を開き、道民に対し、感染のリスクを避ける対策がとれない場合、札幌市内で不要不急の外出を控えることや、札幌市と道内のほかの地域との行き来を控えるよう要請することを決めました。

北海道では、札幌市での感染確認が連日100人を超え、高止まりとなっているほか、札幌市以外の地域でもクラスター=感染者の集団が相次いで発生するなど、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いています。

北海道は17日午後2時から対策本部会議を開き、特別措置法に基づいて道民に対し、感染のリスクを避ける対策がとれない場合、札幌市内で不要不急の外出を控えることや、札幌市と道内のほかの地域との行き来を控えるよう要請することを決めました。

期間は、17日から、道が集中的な対策期間としている11月27日までとしています。

会議の中で、鈴木知事は「一人一人の行動、そして、道民の理解と協力が重要だ。今月中に、何としても感染拡大を食い止めていくため、最大限の危機感を持ち、総力を挙げて感染拡大の防止に取り組んでほしい」と述べました。

バス会社 利用客数の減少を懸念

北海道が、札幌市と道内のほかの地域との行き来を自粛するよう道民に要請する方針を決めたことについて、札幌と帯広を結ぶ都市間バスを運行するバス会社は低迷が続く利用客数のさらなる減少を懸念しています。

十勝の音更町にある「北海道拓殖バス」は、道内のバス会社4社と共同で、札幌と帯広とを結ぶ都市間バス「ポテトライナー」を1日10往復運行しています。

都市間バスは会社の営業収入の柱の1つですが、利用客数は国の緊急事態宣言が出ていたことし4月から5月は前の年と比べおよそ8割減少し、現在も半分ほどしか客は戻っていないということです。

今回、北海道が札幌市と道内のほかの地域との行き来を自粛するよう道民に要請する方針を決めたことについて、小森明仁業務部長は「感染者が増えてきているので対策が必要なことはわかる」と一定の理解を示しながらも、「また経営が厳しい状況になるのではないかという不安がある」と話し、利用客数のさらなる減少を懸念しています。

そのうえで、「これから迎える冬はバスに頼らなければならない客もたくさんいると思うので、車内の換気や消毒などを続け、バスの車内環境は安全だとしっかり示していきたい」と話していました。

函館から札幌に向かう人「これまで以上に感染対策徹底したい」

函館市から札幌市に向かう人からは感染対策を徹底したいなどという声が聞かれました。

感染者が急増していることを受けて、鈴木知事は16日、札幌市の秋元市長と会談し、感染のリスクを避ける対策がとれない場合には、札幌市内で不要不急の外出を自粛することや、札幌市と道内のほかの地域との行き来を自粛するよう要請する方針を決めました。

これについて、函館空港の利用者からはこれまで以上に感染対策を徹底したいなどという声が聞かれました。

函館市から札幌市内の自宅に帰るという50代の医療関係者の男性は、「この状況なので自粛要請が出ることはしかたがないと思います。道内各地で仕事がありどうしても移動が必要なので、感染対策にはこれまで以上に気をつけたい」と話していました。

また、札幌市を経由して釧路市の自宅に向かう40代の男性は、「出張で函館に来ていました。マスクの着用など基本的な対策をするとともに、今回の要請を受けてできることはリモートに切り替えたい」と話していました。

札幌市内の温泉街は

感染リスクを避ける対策を取れない場合、北海道が札幌市と道内のほかの地域との行き来を控えるよう要請したことに対し、札幌市内の温泉街では戸惑いの声が上がっています。

札幌市南区の定山渓温泉にあるホテルでは、緊急事態宣言が出されていた、ことし5月ごろには宿泊客の予約が去年の同じ時期に比べて、1割ほどまで落ち込んだということです。

このため、ホテルでは常連の顧客や、札幌を中心とする近場の利用客への営業を強化し、夏場には去年の6割程度まで客足は回復していました。

ところが、道内で感染が広がったことで、今週末の予約のキャンセルが相次ぎ、中には家族から利用しないよう説得されて、宿泊をあきらめる高齢者もいたということです。

こうした中での、今回の道の要請に対し、ホテルでは、要請の内容にあいまいな面があるとして、今後どう対応すべきか苦慮しています。
「定山渓ホテル」の佐藤元昭統括部長は「北海道の要請の内容がはっきりとせず、先が見えない状態になっているので正直言って本当に怖い。北海道全体で、生き残りの方法を考えていかなければならない」と話していました。

札幌市に住む人たちは

札幌市内で不要不急の外出を控えることや、札幌市と北海道内のほかの地域との行き来を控えることなどを求める北海道の要請について、札幌市に住む70代の男性は「これだけ感染が広がっているので外出自粛はしかたないと思います。いつ自分にかえってくるか分からないので対策をしっかりすべきです」と話していました。

また、札幌市に住む30代の男性は「気をつけて行動しなければならない一方で、外出をしなければ経済が動かなくなるのでどう行動するかあんばいが難しいです」と話していました。

一方、今回の要請では「感染のリスクを避ける対策がとれない場合」としていることについては、わかりにくいという声が聞かれました。

このうち札幌市に住む20代の女性は「いいのか、悪いのか感じ方は人それぞれで条件があいまいでよくわからないのでしっかりラインを決めてもらいたいです」と話していました。

また、20代の男性は「感染のリスクは今までもみんなが避けてきたことなので、行動はいままでとそれほど変わらないと思います。要請を出すのであれば具体的にしたほうが、対策や生活に落とし込みやすいと思いました」と話していました。