ハレの日はいつ・・・ 結婚式 成人式 これからどう祝う?

ハレの日はいつ・・・ 結婚式 成人式 これからどう祝う?
ちょうど今頃結婚式をしているはずでした。しかし新型コロナの感染拡大で延期に。思い悩み、親や友人の意見を聞き、大変な思いをして日程を変更したのに感染は終息するどころか再び増加しています。来年、式はできるのか。再び不安がよぎります。同じような不安を感じている人たちはほかにも。人生の節目となる成人式や卒業式や入社式・・・。ハレの日のお祝いはいったいいつになったら不安なくできるのでしょうか。
(北九州放送局・田口智章、帯広放送局・三藤紫乃、ネットワーク報道部・加藤陽平/玉木香代子)

結婚式、延期したのに

「コロナがなければ今頃、結婚式だったんだね・・・」。

先日、僕(田口)は妻としみじみ話しました。結婚式はことし11月14日(土)の予定でした。式場は九州と関東に住む両家が集まりやすい東京にしました。

でも、それは突如として全く見通しが立たなくなりました。春以降、どんどん増えていく感染者。僕たち夫婦のもとには同僚や友人からさまざまな意見が届くようになりました。
「こんな中で結婚式やるの?!東京にいくのはちょっと・・・」
「対策すれば大丈夫だよ!」
そして、ことしの夏。

「延期、考えて」

父からのメッセージでした。感染拡大に歯止めがかからず、ワクチンも供給されていない。クラスターになったらどうするのか。

もっともな意見でした。

そして式場の厚意で手数料10万円で式を最大で1年間延期できることになったのです。しかし解決したと思ったのもつかの間、ここに来て再び感染が拡大しています。オンラインや家族だけの小規模な式にすることもできるかもしれません。

でも地元から離れた地で働く僕にとって、家族や竹馬の友と過ごす時間はなにものにも代えがたく、結婚式に招きたいのです。わがままなのかもしれませんが・・・。

来年の成人式オンラインの可能性も

人生の「ハレの日」がどうなるのか?同じように不安を感じているのが来年、新成人となる若者たちです。自治体の中にはすでに1つの会場に新成人を集める従来どおりの式典をとりやめるところも出てきています。

SNSには不安を訴える投稿が相次いでいました。
「コロナ増え続けたらさ、まじで成人式なくなるって~~
成人式めっちゃ楽しみやのに」
「人生でたった一度の成人式やれないの悲しいし寂しい。コロナが憎い。コロナ大嫌い」
自分の成人式が開催されるのか不安に感じているという男子大学生に話を聞くことができました。
都内の大学に通う根岸玲さん。ツイッターにこんな投稿をしていました。
「オフラインでやるからこそ成人式に意味があるってずっと思ってたし、コロナのせいでオンラインなんて絶対に嫌。ただ、果たして成人式の意味は何だろうと考えたときにパッと答えが出ないのがまた複雑なんだよなぁ…」
来年、地元で開催される成人式の実行委員長を務めているという根岸さん。
2か月ほど前から会場で流す中学校の先生のビデオメッセージを撮影したり謝辞を考えたりして準備を進めてきました。感染が再び広がる中、開催できなかったらどうしようと考えるようになったといいます。

一方で、一生に1度の成人式。みんなで集まって想い出に残る式にしたいという思いは強まっているそうです。
根岸玲さん
「成人式を形式的な行事だと考えると、市長などの挨拶はオンラインでもできます。でも実際に参加する側としては同級生と直接顔を合わせて会うことに意味があると思っています。ちょっと大人になった自分たちが顔を合わせて未来について考えられる機会だと思うんです」

着物業界も対応

成人式は開かれるのか、もし中止になったら・・・。

ハレの日を彩る着物のレンタルや販売を行う会社にも若者や家族から相談が寄せられています。

業界大手の一蔵。最近では成人式用の着物を高校生の時から予約する人もいるそうで、来年の成人式も予約自体は例年並みに入っているということです。
しかし、感染が再び拡大する中、「成人式が間近になって延期や中止になったらレンタル代はどうなるのか」とか、「オンラインで開催された場合はレンタルのキャンセルは認められるのか」など、例年にはない問い合わせが増えているということです。

この会社では自治体側の判断で成人式が延期になった場合は着物をレンタルできる期間を延長したり、中止になった場合は条件に応じてレンタル代を半額もしくは全額返金したりして対応することにしています。
一蔵の担当者
「成人式は子どもが大人としての門出を迎える、家族にとって特別な日です。できることなら不安なく迎えてほしいです」

自治体の判断しだい・・・

また着物のレンタルを中心に関東などで50店ほど展開する「ウェディングボックス」は11月20日まではキャンセル料を無料にすることを決めています。
ウェディングボックス 和田浩興社長
「業界としては自治体の判断と一蓮托生というところがある。新型コロナの感染拡大がどうなるか分からない状況だが、直前になって自治体が急きょ中止や延期などの判断をした場合にどう対応するべきか懸念しています」

自治体も悩んでます

どうすれば感染のリスクを避けながら「ハレの日」を祝うことができるのか。自治体も頭を悩ませています。
このうち徳島市はすでに新成人が一堂に集まる式典をとりやめることを決めています。

担当者が苦しい胸の内を話してくれました。
徳島市の担当者
「成人式は多いところで新成人が200人以上集まることになります。また例年、善意で式を手伝ってくれるお年寄りも多くいます。クラスターが起きるのはなんとしても避けたいという思いがありました。しかし中止を決めた直後からなんとか式典をやれないかという声が多く寄せられています」
徳島市ではこうした声を受けて式典にかわる新成人のお祝いとして、換気の行き届いた場所で久しぶりに再会する友人どうしで歓談したり記念写真を撮影したりできるスペースを用意することにしました。

全員PCR検査で式典開催

参加者全員にPCR検査を受けてもらおうという自治体もあります。

青森県むつ市です。背景には感染が広がる都市部も含め、7割から8割ほどの新成人が市外から帰省してくるという事情があるといいます。
むつ市の担当者
「若者たちは成人式にあわせて家族や地域の理容店に飲食店、さまざまな場所を訪れるわけで感染の拡大を恐れる地域の不安を払拭したかった。ことしは、お盆の時期にも県外からの帰省を控えてほしいと呼びかけてきたのでせめて成人式は祝ってあげたかった」
参加を希望する新成人に唾液で調べる検査キットを事前に郵送し、式の数日前に検査を受けてもらいます。結果がメールで送られて来たら市に転送してもらうことにしています。
検査にかかる費用はおよそ500万円。

企業や個人からコロナ対策に使って欲しいと寄せられた寄付金の一部を充てることにしています。また式典会場に入れるのは原則、新成人のみにして保護者などにはオンラインで式の様子を見てもらうことにしています。

生まれ育った地域を見つめ直す日に

ここまでして成人式を開催しようとする理由を宮下市長はこう語りました。
むつ市 宮下宗一郎市長

「成人式というのは別の街で生活していた若者達がふるさとに戻り、それぞれの価値観をぶつける日でもあるし支えてきてくれた人や地域の良さを再認識する日でもある。自分自身、そうした経験を通じて社会人としての自覚が芽生えたと思っている。だからこそ、手間がかかってもしっかりお祝いしたい。これから若い人にはそれぞれの地域で根を張ってほしいし、最初に根を張った地域のことを忘れないでほしい」
若者の人生の門出を祝うハレの日。

コロナ禍でもみんなで集まって祝うのか、それとも別の形を模索するのか。

正解がない中で改めてハレの日の意味を問いかけられている気がします。
「コロナ禍の成人式」については「週刊まるわかりニュース」でもお伝えしました。NHKプラスでご覧いただけます。