経済データで見る新型コロナの半年

経済データで見る新型コロナの半年
新型コロナウイルスで深刻な打撃を受けた日本経済。当初、期待されていた「V字回復」のシナリオはどうなったか。冬を前に、感染が再拡大する中、消費は、雇用はどうなるのか。最新の11の経済データからこれからを読み解く。

GDP

1.実質成長率(年率)
日本の経済規模や成長率を示す最新の7月から9月のGDP=国内総生産が発表された。新型コロナウイルスの感染拡大の影響でマイナス28.8%(実質年率)の記録的な落ち込みとなった4月から6月から一転、プラス21.4%という大幅な伸びを記録した。

Go Toトラベルの効果で旅行関連が伸び「個人消費」は回復。「輸出」もアメリカ向け自動車などが伸びて好調。回復の途上にあるが、4~6月の落ち込みからの反動という側面が大きい。
2.実質GDP実額(年換算)
金額ベースで見ると7~9月は507兆円。4~6月で483兆円まで落ち込んだところから戻したが、まだ回復途上。2008年のリーマンショックの頃の落ち込みと比べても今回のコロナショックがいかに厳しい落ち込みだったかがわかる。

分野ごとの増減をみると、今回のGDPは外需の回復がもっとも大きく貢献した。

生産・輸出

3.貿易統計「輸出」
毎月の貿易統計をみると、それがわかる。輸出は5月に最も大きく落ち込み、マイナス28%となった。リーマンショック後以来の大幅な落ち込みだ。

その後、マイナス幅は縮小している。中国向けなどが回復傾向にあるためだ。
4.鉱工業生産指数
企業の生産活動も5月を底に上向き始めた。指数を発表する経済産業省は「生産は持ち直している」と判断している。

海外の経済活動が再開したことを背景に自動車や生産用機械などを中心に、幅広い業種で生産が戻り始めた。

金融市場

コロナ禍にもかかわらず、際立った動きをしているのが金融市場だ。コロナショックを食い止めるため各国が巨額の財政出動や異例の金融緩和に踏み切った結果、市場に大量の資金が流入した。
5.日経平均株価
世界の株式市場は3月に大きく動揺。日経平均株価も2万4000円台から1万6000円台に急落。

しかし、その後は上昇基調に転じ、11月、アメリカ大統領選挙をきっかけに上げ幅を拡大。29年ぶりの2万5000円台に達した。
市場関係者からは「過熱」という指摘も聞こえる。
6.円相場
3月の市場の動揺の中、瞬間的に1ドル101円台まで円高が進んだ。
足元では104円前後で推移している。

暮らし

では、暮らしに関わるデータはどうなっているか。
7.消費支出
まず消費。データからは自粛の影響がはっきり読み取れる。緊急事態宣言がでた4月はマイナス11.1%、5月は16.2%と2ケタの落ち込みとなった。現金10万円の一律給付などの下支え策もあってその後、マイナスは縮小したが、最新データの9月の消費はマイナス10.2%となった。

品目別に支出をみると、家で過ごす時間が増え、パスタなどの食料品、チューハイなど家飲みのアルコールが伸びている。

一方でリモートワークの影響でスーツは大きなマイナス。マスクをするため口紅など化粧品もマイナス。落ち込みが特に顕著なのが、外食、鉄道運賃、パック旅行などだ。
8.外食
外食の業界団体のデータをみると、自粛の影響で「パブ・居酒屋」の9月の売り上げは、前の年にくらべ半減という厳しい状況だ。
9.宿泊旅行統計
全国のホテルや旅館の宿泊者数は5月に前年比で84%も減った。外出自粛と外国人宿泊者の記録的な落ち込みが影響した。

観光需要の喚起策、Go Toトラベルが始まったが、9月は、前年比でなお47%のマイナスだ。

雇用・賃金

外食や旅行などの落ち込みは、そうした分野で働く人の雇用もおびやかしている。求人の動きに、はっきりとあらわれている。
10.有効求人倍率
有効求人倍率は、去年はじめに1.6倍に達していた。バブル景気の頃を上回る水準で、人手不足も指摘されていた。

しかしコロナ後、目立って低下し、9月は1.03倍。ほとんどの業種で新規の求人が減っている。「生活関連サービス・娯楽」、「宿泊・飲食」、「卸売・小売」の順で減少率が大きくなっている。

雇用のデータは悪化が目立つ。失業率は上昇。解雇や「雇い止め」で仕事を失った人は、厚生労働省の調査で、ことし1月末から11月6日までの間に、見込みも含めて7万人を超えた。
11.給与総額
賃金も4月以降、6か月連続で減少している。
残業代など、所定外給与の大幅な減少が続いている。

今後の展望は

今回のGDPの大幅な伸びをどうみるべきか。日本総合研究所の成瀬道紀副主任研究員は、こう語る。
成瀬副主任研究員
「緊急事態宣言が解除されたことで、7~9月は急激に回復した。Go Toキャンペーンの効果で、宿泊施設や飲食店などの稼働率は上がってきているが、元の水準には戻っておらず、再び感染が拡大する中でまた厳しくなる可能性がある。“ウィズコロナ”による需要の変化に対応できたところと、対応できなかったところで大きな差が出てくる」
その上で、成瀬さんは「感染対策と経済活動の両立をいかに図るかが試される正念場だ」と指摘した。

日本経済はコロナショックから回復の途上にはあるが、当初、期待されていた「V字回復」にはなっていない。それがデータからも読み取れる。株価の値上がりをみると「いびつな回復」の断面も見える。

新型コロナの脅威が、またもや世界を覆いつつあるなか、いかにして成長軌道を取り戻し強じんな経済をつくりあげるのか、問われることになりそうだ。