外出制限のフランス クリスマス前に小売・飲食店に懸念広がる

新型コロナウイルスの感染が再び拡大し、全国一律の外出制限が行われているフランスでは、今月だけで新たに60万人以上の感染が確認され、医療現場の負担が増して対応に追われる一方、クリスマスを控えて例年、売り上げが伸びる時期に通常の営業ができない小売店や飲食店の間では懸念も広がっています。

今月だけで新たに60万人以上の感染確認

フランスでは新型コロナウイルスの感染が再び急速に拡大し、先月30日からことしの春以来となる、全国一律の外出制限が行われています。

しかし、今月だけで新たに60万人以上の感染が確認されたうえ、多い日には3000人を超える人が新たに入院するなどして、医療現場の負担は増す一方です。

政府は集中治療室のベッドを新たに1360床増やしたほか、重症患者を比較的余裕のある地域や隣国ドイツの病院に搬送するなど対応に追われています。

一方で、クリスマスを控えて例年、売り上げが伸びるこの時期に、外出制限によって店内に客を入れての通常の営業ができない小売店や飲食店の間では懸念が広がっていて、制限の緩和を求める声が強まっています。

書店売り上げ減少 支援の動きも

フランスでクリスマスシーズンは1年で最も消費が多いとされる時期です。

書店も、クリスマスプレゼントに本を選ぶ人がいることなどから、例年この時期に売り上げが大きく伸びるということで、外出制限の影響に懸念が強まっています。

パリ近郊で書店を経営しているマリエブ・シャルブニエさんは、ことし春の2か月近くに及んだ外出制限では売り上げを50%近く失ったということで、今回の外出制限について「私たちの仕事は訪れた客と交流しながらふさわしい本を薦めることです。外出制限は不公平だし受け入れることはできない」と批判していました。

不公平さを訴える背景には、春の外出制限の期間中に需要が高まったネット通販大手のアマゾンの存在があります。

フランスの書店組合は声明で、「アマゾンが支配しているオンラインでしか書籍の販売を認めないのは遺憾だ」として書店への支援を訴えています。

フランスの大手スーパーは、「アマゾン、ごめんね」という見出しで新聞に広告を掲載し、みずからのネット販売のサイトを書店が無料で利用できるようにすると協力を申し出ました。

フランス政府も、書店が本を郵便で送る場合の費用を実質、無料にする支援策を発表しています。

シャルブニエさんの書店では、事前に本をインターネットなどで注文して店頭で受け取るサービスを利用する人が大幅に増えたということで、「客は本の購入を通じて支えようとしてくれている」と感謝し、できるだけ早く通常の営業を再開したいと話していました。