障害者にもテレワーク拡大を 企業とつなぐイベント

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、障害者にもテレワークを広げようと、IT企業などとつなぐイベントが東京で開かれました。

これは、障害者の就労支援などを行う会社が東京 渋谷区で開いたもので、20代から30代の障害のある人およそ20人と、都内のIT企業など5社が参加しました。

イベントはウェブ上で開かれ、企業の担当者が、新型コロナウイルスの感染を防いだり仕事の効率を高めたりするために職場でテレ-ワークを進めていることなどを説明しました。

主催した会社がことし3月に障害のある人にアンケートを行った結果、職場に求める感染防止の対策で最も多かったのがテレワークだったということです。

その一方で、事務職の場合は職場への出社が必要なケースが多いため、在宅でも可能なウェブ制作などのスキルを身につけてもらうことでテレワークを広げていきたいとしています。

参加した31歳の男性は「テレワークを希望しているので、可能な職場で働きたいと思います」と話していました。

障害者の就労支援などを行う会社「ゼネラルパートナーズ」の藤大介さんは、「コロナ禍の働き方は障害者も転換期にあり、ウェブのスキルを身につけ、テレワークを選択できるようにしていきたい」と話していました。

「命が脅かされる不安」

テレワークでの仕事を求めている高木孝太朗さん(29)は、体に障害があり、こう原病の1つ「全身性エリテマトーデス」など複数の指定難病の治療を続けています。

日頃から病気の症状を抑えるために免疫抑制剤を服用していますが、厚生労働省によりますと、こうした人は新型コロナウイルスの感染で重症化しやすいとされています。

高木さんは、ことし5月末まで都内の飲食店でソムリエとして接客の仕事をしていました。
しかし、新型コロナウイルスに感染し死亡した同い年の力士に基礎疾患があったとの報道を見て、感染がひと事ではないと考えるようになりました。

働いていた店が営業自粛で休業し再開のめどもたたなかったことから退職し、テレワークで働けるIT関係の仕事に就こうと、障害者の就労支援を行う事業所に通い始めたということです。

高木さんは「薬で免疫が下がっているので、飲食店で働いていたときは感染の不安や命が脅かされる不安を感じる機会が多かったです。企業にはどのような障害のある人がどういった働き方をしているのかを聞き、テレワークが進んでいることも分かったので、安心できました。ウェブデザイナーのスキルを磨いて、人との接触が少ない仕事を選びたいと思います」と話していました。