科学・文化

新型コロナ “欧州系統は飛まつ感染しやすい” 東京大学など

新型コロナウイルスのうち、一部が変異してヨーロッパから感染が広がったタイプのものは、飛まつ感染しやすい性質があることを動物実験で確かめたとする研究結果を、東京大学などのグループが発表しました。
東京大学医科学研究所の河岡義裕教授とノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授らのグループは、中国・武漢から広がった野生型の新型コロナウイルスと現在、世界中で広がっているヨーロッパ系統と同様に表面のたんぱく質の一部を変異させたウイルスを、ハムスターなどの実験で比較した結果を発表しました。

研究グループが飛まつを通じて隣接する別のケージにいるハムスターにどれだけ感染させるか調べたところ、2日後の時点で、隣のケージで感染していたのは野生型では1匹もいなかったのに対し、ヨーロッパ系統では8匹中5匹に上り、飛まつ感染しやすい性質があると考えられるとしています。また、両方のウイルスを一緒に培養すると、ヨーロッパ系統のほうが優勢になりました。

一方で、ハムスターなどの肺の炎症の程度に差は見られず、病原性には影響がなかったほか、抗体に対する反応でも差はなく、野生型を元に開発したワクチンでも、ヨーロッパ系統のウイルスに対し、同じ効果を期待できるとしています。

研究グループは、ヨーロッパ系統のウイルスが野生型を非常に短期間でしのいで拡大した理由が明らかになったとしていて、今後も変異を見ていく必要があるとしています。

研究成果は科学雑誌「サイエンス」のオンライン版に掲載されます。

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