東京五輪の外国人観客 原則14日間の待機免除で検討

東京オリンピック・パラリンピックに向けた、政府と東京都、組織委員会による会議が開かれ、外国人の観客については原則として14日間の待機を免除する方向で具体的な感染対策を検討し、来年の春までに決めることになりました。

総理大臣官邸で開かれた会議には、杉田官房副長官のほか、東京都と組織委員会の担当者らが出席しました。

会議では、外国人の観客の受け入れにあたっては、原則として14日間の待機を免除し、公共交通機関の利用も認める方向で検討する方針を確認しました。

そして、14日間の待機などと同じ程度の防疫措置を構築するとして、行動や健康を管理する仕組みを整えて、感染の疑いがある場合は速やかに把握できるようにするなど、具体的な感染対策を検討し、来年の春までに決めることになりました。

また、収容する観客数の上限については横浜スタジアムなどで行われた、プロ野球の試合に制限を超える観客を入れて、感染対策などを検証する取り組みなどを踏まえ、来年の春までに最終決定することになりました。

このほか、東京大会に参加する国や地域との交流事業に携わるホストタウンの感染対策として、選手らの移動手段や練習会場は原則、貸し切りとし、自治体に対し、滞在場所や移動経路を記載した行程表の作成を求めることを決めました。

組織委事務総長「2週間の隔離は現実的でない」

組織委員会の武藤事務総長は、外国人の観客は原則として14日間の待機を免除する方向で具体的な感染対策を検討していることについて、「外国に住むチケット保有者は数も多く、2週間の隔離や公共交通機関の制限は現実的でない」との認識を明らかにしました。

そのうえで、来日前の検査を徹底し、アプリを使って行動記録をとってもらうことや感染が疑われる症状が出たら迅速に対応できる窓口を設置することなどを検討していく方針を示しました。

しかし、外国人の観客の感染対策は、選手に比べて一定の限界があり、実効性の担保が課題だと認めたうえで、「すべての海外からの観客が14日間の待機を免除かというと状況によると思う。非常に感染が深刻な国があれば検討課題だ。国内の住民の安心安全につながるかが非常に大事であり、そこを最大限配慮する必要がある」と述べました。

また、大会の観客数の上限を決める時期を来年の春までとした理由については「仮に観戦チケットの一部を削減しなければならないとなると、そのための手続きが必要で、直前という訳にはいかず、一定の準備の時間が必要だ」と述べました。

聖火リレー感染防止対策は年内に

来年3月25日に福島県でスタートする聖火リレーの感染防止対策は、組織委員会が年内にまとめることになりました。

12日の政府、東京都、組織委員会による会議では、
▽リレーの沿道でマスクの着用を呼びかけたり、混雑を避けるための対策を講じたりすることや、
▽一日の最後に行われる聖火の到着を祝うイベント「セレブレーション」は、その時点のイベントの開催の制限に関する政府の方針を踏まえて実施すること、
▽聖火ランナーはほかの人との距離を確保して走行すること、などが方向性として示されました。

組織委員会が年内に対策をまとめ、各都道府県の実行委員会などがその対策に沿った具体策を実行することになります。