アーティスティックスイミング日本選手権 無観客で開催

アーティスティックスイミングの日本選手権が山口市で始まり、日本代表が1年4か月ぶりの実戦で、空手をイメージした演技を披露しました。

大会には全国のクラブチームなどからおよそ200人の選手が集まり、井村雅代ヘッドコーチの下、東京オリンピックで2大会連続のメダルを目指す日本代表もオープン参加しました。

初日の12日は8人で泳ぐ、チームのテクニカルルーティンが行われ、日本代表は銀メダルを獲得した2000年のシドニー大会と同じ「空手」をテーマにした演技を披露しました。

日本代表は緊急事態宣言が解除された後の6月下旬に、東京・北区の国立スポーツ科学センターで全体練習を再開させましたが、実戦は去年、韓国で行われた世界選手権以来、およそ1年4か月ぶりです。

演技では回転する足技がずれたり、選手どうしの距離が空いてダイナミックさに欠けたりした場面があったものの、空手の「突き」や「蹴り」を取り入れた力強い動きや、キレのある足技を見せていました。

大会は感染予防のため無観客で15日まで開かれ、選手が声援を送ることを禁止したほか、コーチにも大声での指導を最小限にするよう求めるなど、厳しい制約が設けられています。

1年4か月ぶりの実戦 選手・監督は

日本代表のキャプテンの乾友紀子選手はおよそ1年4か月ぶりの実戦について「練習ばかりするよりも、人前で演技することが好きだと改めて感じた。個人が技術を高める練習をしてきたので、チーム全体の力は上がっている」と話していました。

吉田萌選手は無観客で選手による声援も禁止されるなど、感染対策がとられた今大会について、「演技の最初や終わった後に声援がないのはちょっとさみしかったが、拍手はあったのでうれしかった。今回は出番の前に声も出さず、手もつながず、円陣を組む新しい気合いの入れ方にした」と明かしました。

ジャンパーを務めた柳沢明希選手は「自分は高難度のひねり技はあまりできないが、とにかく高さのあるリフトができるのが強み。代表の中では技術が低いので、オリンピックの延期でできた時間に少しでも追いつきたい」と話していました。

井村雅代ヘッドコーチは今大会の感染対策について「異例とは思わないことにしている。これが今の試合の在り方。形を変えてでも試合ができるなら、選手に戦わせてあげたい」としたうえで、12日の演技については「選手どうしがぶつかる失敗をおそれ、距離が広がったので、集団の迫力に欠けた。集団の強さへとかじを切って練習を重ねていきたい」と話していました。