新型コロナ感染者への差別 国に対策求める報告書案まとまる

新型コロナウイルスに感染した人たちに対する差別によって、深刻な人権侵害が起き、感染対策などにも影響が出ているとして、国のワーキンググループは差別的な行為によって法的な責任を問われる場合があることを周知するなどの対策を国に求める報告書の案をまとめました。

ワーキンググループは、感染者などへの差別の実態や求められる対策について、被害にあった学校や病院、それにインターネットへの違法な書き込み対策を行う団体などにヒアリングを行って報告書の案を取りまとめました。

それによりますと、未知の感染症に対する不安などから、感染者や感染対策をおろそかにしているように見える人への処罰的な感情が生まれ、深刻な人権侵害が起き、感染対策や社会や経済の活動にも負の影響が出ているとしています。

そして、実際にあった例として、感染対応にあたる病院関係者や介護従事者の子どもへのいじめや保育所の預かり拒否、クラスターが発生した学校の生徒の写真のSNSでの拡散、それに、感染を理由にした雇い止めなどを挙げていて、ワーキンググループは、こうした行為は法的な責任が問われる場合があることを国が広く周知するべきとしています。

また、自治体が発表して報道された情報をきっかけに、被害が出たケースも確認されたとしていて、感染拡大の防止に役立つ情報の公表と、個人情報の保護とのバランスを取ることを基本としつつ、感染者の特定や差別につながる情報が公表されないよう、国に考え方を示すことを求めています。

報告書の案は、12日に開かれる政府の分科会に提出され、議論が行われます。