脱税を指南した疑いなどで会社代表らを告発 名古屋国税局

「節税できる方法を教える」などとしてセミナーを開催し、個人事業主などに脱税を指南していた名古屋市の会社と代表が、法人税法違反などの疑いで国税当局から告発されました。手数料として、およそ10億円を受け取っていた疑いがあるということで、実態を調べています。

告発されたのは名古屋市のコンサルタント会社「LSIホールディングス」と下林勇太(38)代表です。

関係者によりますと、下林代表は5年前からおととしにかけて「節税できる方法がある」などとうたって各地でセミナーを開き、中小企業や個人事業主と契約を結んで所得隠しの方法を教えていたということです。

名古屋国税局は、会社と下林代表が多額の手数料を得ていたのに必要な税務申告を行わず、およそ6000万円を脱税した法人税法違反などの疑いや、下林代表が脱税を指南した疑いで検察庁に告発しました。

関係者によりますと、LSIは全国の顧客からおよそ10億円を手数料として受け取っていた疑いがあり、下林代表は高級車の購入や海外旅行などに使っていたとみられています。

国税当局は、指南を受けていた1000人近い顧客についても追徴課税などを進めるとともに、詳しい実態を調べています。

指南受けた男性「説明うのみに」

LSIが開いた節税をうたうセミナーに参加したIT関連の仕事をしている男性がNHKの取材に応じました。

下林代表から直接声をかけられ「金は自分が用意するので振り込めば経費として計上でき節税になる」と説明を受けたということです。

男性は「相手が実際に多額の現金を持って来て、それをいったん受け取って指示どおりに口座に振り込んだ。今思えば、おかしいと感じることだった」と話しています。

男性は指示に従って手続きをしましたが、去年、国税当局の税務調査を受け架空の経費を計上したとして申告漏れを指摘され重加算税含めおよそ500万円を追徴課税されたということです。

男性は「税金に対しての知識がなかったことが原因だと思うが、相手が何度も『合法だ』と言うので、それをうのみにしてしまった」と話していました。

手口に詳しい弁護士「明らかに違法 うまい話には必ず わな」

実際に、どのように所得隠しを指南していたのか。

関係者によると、元社長は、請求書とともに現金を前もって顧客に渡し、それを「コンサルティング費用」といった名目で、自分が管理する口座に振り込ませていたということです。

こうすることで「振り込んだ金は経費に計上でき、節税になる」と説明し、応じた顧客には手数料を請求していたということです。

今回の手口に詳しい杉山雅浩弁護士は、明らかに違法なやり方だと指摘しています。

杉山弁護士は「代表は、セミナーの中で『10億20億を稼いでいるが、1円も税金を納めたことがない。このスキームのおかげです』『大企業の中にも、この方法を取り入れているところがあります』などと、話をして信用させていた。冷静に考えれば詐欺的な方法だが、セミナーなどで多くの人が信じ込んでいたようだ」と話しています。

そのうえで「うまい話には必ず、わながある。セミナーなどで誘われた場合でも、周りの人に相談するなど、きちんと考えてから行動することが重要だ」と指摘しています。