新型コロナ 病床ひっ迫具合「ステージ3」指標超の地域拡大

新型コロナウイルスの感染状況について、都道府県ごとの最新のデータが11日、公表されました。病床のひっ迫具合では「ステージ3」の指標を超える地域が広がっています。

政府の分科会は、新型コロナウイルスの感染状況を4つのステージに分類し、このうち、医療提供体制に大きな支障が出ることが懸念される「ステージ3」と、爆発的な感染拡大への備えが必要な「ステージ4」については、目安として具体的な指標を数値で示しています。

厚生労働省は11日、都道府県ごとの最新データを公表しました。

このうち「病床のひっ迫具合」では、現時点で確保できている病床の使用率が、「ステージ3」の指標の25%を超えたのは、11月3日の時点で、青森県(27.4%)、宮城県(38%)、東京都(26.1%)、大阪府(26.6%)、岡山県(31%)、沖縄県(43.1%)の6都府県でした。

10月20日からの2週間で、青森県、宮城県、大阪府、岡山県が新たに指標を超えています。

また、医療機関に入院している人と、自宅や宿泊施設で療養している人などを合わせた「療養者数」では、沖縄県が11月3日の時点で、ステージ3の指標となる人口10万人あたり15人を超えました。(20.1人)

一方、「1週間の陽性者数」と「PCR検査の陽性率」でステージ3や4の指標を超えた都道府県はありませんでした。

分科会は「こうした指標はあくまで目安で、国や都道府県は、地域の状況などを踏まえて、総合的に判断する必要がある」としています。

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合は、「新規感染者数の増加傾向が今月に入って強まっている」としたうえで、「入院者数や重症者数が先月末から上昇に転じ一部地域では病床の占有率が高まってきていて留意が必要だ」と指摘しています。

医療現場は再拡大に警戒

再び感染が拡大する新型コロナウイルス。最も注意すべきことの1つは医療現場への影響です。

都内の医療機関では、ひっ迫した状況にはなっていないものの患者が増加しつつあり、警戒を強めています。

東京 北区にある「東京北医療センター」では、軽症の患者を中心に新型コロナウイルス感染者の治療にあたっています。

病床数は40床。今は10代から70代までの患者18人を受け入れていて、まだベッドに余裕はあります。

それでも入院患者は徐々に増えていて、9月の新規患者は54人でしたが、10月は82人に増加。このまま感染の拡大が続けばさらに患者が増えるおそれがあります。

しかし、病院では新型コロナの専用病床をこれ以上増やすのは難しいといいます。6月から、中断していた健康診断や縮小していたがんの手術を再開するなど通常の診療体制に戻していて、新型コロナ以外の患者も多く受け入れているからです。

また、入院だけでなく発熱などの外来患者も今後、増える可能性があります。

病院は敷地内にプレハブの建物を作り、6月から新型コロナ外来を設置しました。ほかの患者と接触を避けるためのもので、発熱などの症状がある患者や感染の疑いがある患者にはその場でPCR検査や抗原検査を行っています。

毎日、70人ほどが検査を受け、日々、数人の陽性者が出ているということです。
センターの宮崎国久医師は「いまは家庭内感染や外国人の患者が多く、子どもも入院している。寒くなってくると毎年、高齢者を中心に救急や肺炎などの入院患者が増えてくるので、新型コロナの専用病床をこれ以上増やすのは厳しい。今後さらに感染が拡大すると、入院している患者が重症化した時に転院先の高度医療機関が見つからない事態にならないかも心配だ。新型コロナウイルスは感染すると一定の確率で亡くなる病気だということを多くの人に認識してもらい対策の徹底が図られてほしい」と話しています。