感染拡大の北海道 老人ホームなどで「クラスター」相次ぐ

北海道では新型コロナウイルスの感染確認が7日連続で100人を超えています。

札幌市は10日、南区の特別養護老人ホームで、クラスター=感染者の集団が発生し、入所者と職員、合わせて56人の感染が確認されたと発表しました。

北海道によりますと、10日までに道内で確認された老人ホームなどの高齢者が利用する施設でのクラスターは、12件発生していることです。

北海道や札幌市は、クラスターが相次いでいることについて、「はっきりとした理由は分かっていない」としたうえで、発熱外来を充実させたりPCR検査を強化したりして、感染者の急増に対応していくとしています。

老人ホーム 感染防止を徹底

札幌市中央区の介護付有料老人ホーム、「そんぽの家・苗穂」は、入所者が100人、職員は43人が勤務しています。

施設では外部からのウイルスの持ち込みを防ごうと、面会を自粛するよう呼びかけているほか、来訪者に対しては、検温や連絡先の記入を求めていて、先月には、すべての出入り口に手洗い場を新しく設置しました。
入所者には、外出届の記入を義務づけたり、食堂に仕切りを設置し、利用時間をずらしてもらったりすることで感染防止を徹底しています。
一方で、これまで通りの介護サービスを続けるため、出勤する職員の数を維持していますが、職員から感染が広がらないよう、専用のチェックシートを用意し出勤時の体温や体調などを確認できるようにしているほか、公共交通機関を利用する職員を中心に時差出勤の導入を進めています。

また施設では、北海道の「警戒ステージ」が「3」に引き上げられたことを受けて、札幌市から対策の強化を求められていることから、入所者の基礎疾患を改めて確認し重症化のリスク管理に努めているということです。
この施設に暮らす80代の女性は「体操やお花などの習い事はいまはちょっと休んでいて、部屋を出るのは食事だけです。施設の人は気を遣ってくれているので、こちらも気をつけなくちゃいけないと思ってます」と話していました。

施設に勤務する30代の介護士の男性は、「高齢の方と関わる仕事なので、自分が感染していないか不安に思うこともあります。入所者の方たちの生活を守る上でも、介護職員として責任をもって予防をしていきたい」と話していました。

「そんぽの家・苗穂」の青木聖治ホーム長は、「クラスターはひと事ではありません。ほかの施設でも職員から広まってしまった例があるため、いかに職員の感染を防げるかが大事だと考えています。できることはやっていますが、さらに何ができるのか、これからも考えていきたいです」と話していました。