11月11日は「独身の日」 中国でネット通販各社がセール

中国では「独身の日」と呼ばれる11月11日、恒例のインターネット通販各社による大規模な値引きセールが始まりました。ことしは新型コロナウイルスの影響による、いわゆる「巣ごもり消費」などでネット通販の需要が高まっているとされ、取引額がどこまで伸びるか関心が集まっています。

11月11日は中国で独身を意味する数字の「1」が並ぶことから「独身の日」と呼ばれ、この日にあわせてネット通販各社が毎年大規模な値引きセールを行っています。

このうち中国最大手のアリババグループは本社がある浙江省杭州でイベントを開き、現地時間の11日午前0時にあわせてカウントダウンを行ってセールの開始を宣言しました。

アリババは去年、この日だけで日本円で4兆円を超える過去最高の取引額を記録したとしています。

ことしは、新型コロナウイルスの影響によるいわゆる「巣ごもり消費」などでネット通販の需要が高まっているとされ、取引額がどこまで伸びるか関心が集まっています。

また、中国経済は新型コロナウイルスの影響からの持ち直しが続いている一方で、個人消費の底上げが課題となっていることから、独身の日の消費の動向も注目されています。

無人宅配車で荷物配達も

「独身の日」は年々規模が拡大し、去年のイベントの際には23億個余りの商品が配達されたうえ、ことしも新型コロナウイルスの影響によるいわゆる「巣ごもり消費」の増加もあって配達の数は増えると予想されています。

このため先端技術を活用した物流の効率化がさらに重要になっていて、業界2位の「京東」は先月から東部の江蘇省の一部で無人の宅配車が荷物を配達するサービスを始めました。

この宅配車は最高時速10キロで自動走行し、カメラやセンサーで信号や歩行者などを識別するといいます。

配達先に到着すると注文した人のスマートフォンに自動で通知が届き、QRコードを読み取ることなどで荷物を受け取れる仕組みです。

商品を受け取った女性は「目新しい感じですし、便利ですね」と話していました。
無人宅配車が商用サービスとして街全体で運用されるのは、中国では初めてだということで、この会社は年末までに100台を導入し、今後中国全土に展開する考えです。

また、この会社は物流センターの自動化も進め、北京市の施設ではロボットが作業の大部分を担い、大量の棚やカゴから商品を効率的に仕分け配達するシステムを導入しています。

自動化されていない倉庫と比べて人員を7割削減でき、以前の6倍の荷物を処理できるということです。

会社の担当者は、「物流の効率化を図るため、自動化やスマート化によって生産力を高めていきたい」と話していました。

日本企業 ライブコマースで売り込み

「独身の日」に合わせて、日本企業も中国市場への売り込みを強化しています。

新型コロナウイルスの影響で中国人観光客によるインバウンド消費が見込めなくなる中、日本の小売業界では中国の消費者向けにネット通販で直接商品を売る「越境EC」に活路を見いだそうという動きが広がっています。
このうち東京に本社のある赤ちゃん向けのヘルスケア機器のメーカーは、ことし4月からネット中継で商品を紹介する「ライブコマース」と呼ばれる新たな販売手法を自前で導入しました。

「ライブコマース」はオンライン上で寄せられる消費者の質問に企業側がリアルタイムで答える双方向性が特徴で、中国ではここ数年で急速に浸透し、ことしの流通額は1兆人民元、日本円で16兆円に拡大すると予測されています。

この会社では「独身の日」に向けて4人の中国人社員が東京の店舗から週に3、4回ネット中継を行い、視聴者の数は多い日には500人に上るということです。

売れ筋は乳幼児用の電動歯ブラシで、ネット中継では安全性に配慮した毛の柔らかさのほか、子どもをあやすための7色に光る機能などを実演しながらPRしていました。

この会社によりますと、インバウンド需要の落ち込みで日本国内の店頭での売り上げは新型ウイルスの感染拡大前と比べておよそ9割減少した一方、中国向けのネット通販は好調で、ことしの「独身の日」のセール期間中に、去年の2倍の10万本の電動歯ブラシの販売を見込んでいるということです。

この会社の山藤清隆社長は「新型コロナウイルスの影響で需要がかなり落ち込み、最悪の事態が頭をよぎることもあったが、越境ECの可能性は大きいと思っている。『独身の日』に向けて夏ごろから対策をしてきたのでうまくいけばと期待している」と話していました。

去年の2倍の売り上げ見込む企業も

化粧品大手の資生堂は「独身の日」に合わせて、毎年「ライブコマース」で中継販売を行っています。

これまで中国のネット上で影響力のある「KOL」=「キー・オピニオン・リーダー」と呼ばれる中国人女性らが商品を紹介していましたが、ことしはあえて日本のオフィスからブランドの責任者が中国の実店舗では販売していない商品をアピールしていました。

中国ではまだ知名度の低い日本の主力商品の特徴や使い方をより深く知ってもらうことで、中国市場をさらに開拓するねらいがあります。

この会社では新型コロナウイルスの影響でことし9月までの半年間のインバウンド需要が去年の同じ時期と比べて6割以上減少した一方で、今回のセール期間中は去年のおよそ2倍の売り上げを見込んでいるということです。

ライブコマースに参加したブランドの責任者の北原規稚子バイスプレジデントは「中国のライブコマースのパワーを実感するいい機会になった。日本で愛されている商品を知ってもらう機会や方法をさらに検討していきたい」と話していました。