新型コロナ「回復者血しょう治療」6人に投与 臨床研究報告

新型コロナウイルスの最前線で治療を担っている国立国際医療研究センターのシンポジウムが10日、オンラインで開かれ、回復した人の血液の成分を別の患者に投与する「回復者血しょう治療」の臨床研究についての最新の状況などが報告されました。

このシンポジウムは国立国際医療研究センターが開いたもので、国内外の研究者や医師が参加して、これまでの流行状況やワクチンや治療法の最新の開発状況などが報告されました。

このうち、国立国際医療研究センターの忽那賢志医師からは、回復した人の血液から抗体が含まれた「血しょう」を取り出し、別の患者に投与する「回復者血しょう治療」の臨床研究について最新の状況が報告されました。

それによりますと、これまでに97人の回復者から血しょうが提供され、30代から60代の男性、合わせて6人に血しょうが投与されたということです。

いずれの患者も現在のところ異常は見られないということで、呼吸状態が悪化した中等症以上の合わせておよそ60人に投与し、安全性や効果を判断するということです。

「回復者血しょう治療」はアメリカでは、緊急の使用が許可されていますが国内ではまだ承認されていません。
講演の中で忽那医師は「まずは安全性の評価が重要だ。今後も血しょうを提供していただける回復者の方を募集しているので、さらに研究を進めていきたい」と話していました。