全国の火山概況(10月)全国の9火山に「火口周辺警報」

気象庁は10日、10月の全国の活火山の活動状況や警戒すべき点を発表しました。噴火が発生したり火山活動が高まったりしているとして、全国の9火山に「火口周辺警報」が、1つの海底火山に「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。

火口周辺警報は9火山

今後の噴火で火口の周辺や居住地域の近くに影響が出るおそれがあるとして「火口周辺警報」が発表されているのは、
▽群馬県にある草津白根山の「白根山」
▽長野県と群馬県の県境にある「浅間山」
▽鹿児島と宮崎の県境にある霧島連山の「新燃岳」
▽鹿児島県の「桜島」「口永良部島」「薩摩硫黄島」「諏訪之瀬島」
▽小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」の合わせて9火山です。

噴火警戒レベル3は2火山

このうち、居住地の近くまで影響が出るおそれがあり「入山規制」を示す噴火警戒レベル3は「桜島」と「口永良部島」に発表されています。

〈桜島〉
桜島では、火山ガスの放出量が1日当たり2200トンから6600トンに上り、9月の1300トンから2000トンに比べて非常に多い状態でした。

また、南岳山頂火口では噴火が2回観測されたほか、ごく小規模な噴火もたびたび観測されました。

鹿児島湾にある姶良カルデラの地下には、長期間供給されたマグマが蓄積されていて、火山ガスの放出量がやや多い状態も続いていることから、今後も南岳山頂火口を中心に噴火活動が活発化する可能性があるとしています。

気象庁は、南岳山頂火口と昭和火口からおおむね2キロの範囲では、大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<口永良部島>
口永良部島では、8月末から噴火は観測されていません。

一方、火山ガスの放出量は、1日当たり40~300トンと、やや多い状態が続いています。

火山性地震は18日から増加し、19日には235回発生しました。

その後、回数は減少しましたが、多い状態が続いています。

また、地下のマグマの蓄積量は、地殻変動の観測結果から、一時すべての住民が島外に避難した2015年の爆発的な噴火の発生前の状態に匹敵するとしています。

気象庁は、5年前に匹敵する火山活動に発展する可能性も考えられるとして、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に、向江浜地区から新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒するよう呼びかけています。

噴火警戒レベル2は5火山

火口周辺への立ち入りが規制される噴火警戒レベル2は
▽草津白根山の「白根山」
▽「浅間山」
▽霧島連山の「新燃岳」
▽「薩摩硫黄島」
▽「諏訪之瀬島」の5つの火山に発表されています。

<草津白根山の白根山>
草津白根山の「白根山」では、2019年9月上旬から湯釜付近の浅い部分で火山性地震が増加し、その後も継続的に発生しています。

熱水活動はやや高い状態が続いていて、引き続き小規模な水蒸気噴火が発生する可能性があるとしています。

気象庁は湯釜火口からおおむね1キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

<浅間山>
浅間山では、山の西側の膨らみを示すと考えられる傾斜変動は、8月中旬ごろからほぼ停滞しているということです。

しかし、火山性地震は増減を繰り返しながら引き続き発生していて、噴煙量も噴火警戒レベルが引き上げられた6月の前と比べ、増加した状態が続いています。

気象庁は、火山活動が高まっていて、今後小規模な噴火が発生する可能性があるとして、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石や火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<新燃岳>
霧島連山の新燃岳では火山性地震が増減を繰り返しています。

また、火山ガスの放出量も増加した状態が続くなど、火山活動がわずかに高まった状態となっています。

気象庁は、火口からおおむね2キロの範囲で大きな噴石に、おおむね1キロの範囲で火砕流に警戒するよう呼びかけています。

<薩摩硫黄島>
薩摩硫黄島では6日にごく小規模な噴火が発生しました。

火山性地震や地殻変動に特段の変化はありませんが、夜間には「火映現象」が観測され、噴煙も時々が高くなるなど、長期的には熱活動が高まった状態が続いています。

気象庁は火口からおおむね1キロの範囲で大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

<諏訪之瀬島>
諏訪之瀬島の御岳火口では活発な噴火活動が続いています。

気象庁は今後も火口周辺に影響を及ぼす噴火のおそれがあるとして、火口からおおむね1キロの範囲では、大きな噴石に警戒するよう呼びかけています。

レベル無しも警報は2火山

噴火警戒レベルが導入されていないものの「火口周辺警報」が発表されているのが、小笠原諸島の「西之島」と「硫黄島」です。

<西之島>
西之島では、28日に海上保安庁が実施した上空からの観測によると、噴火は確認されませんでした。

気象衛星の観測では、地表面の温度の高まりは、ほぼ確認されなくなり、気象庁は、噴火活動はほぼ停止しているとみられるとしています。

しかし、今後も噴火が再開する可能性があるとして、「入山危険」を示す火口周辺警報を継続し、山頂火口からおおむね2.5キロの範囲で大きな噴石や溶岩流に警戒を呼びかけています。

<硫黄島>
2018年9月に海底噴火が起きたと推定される硫黄島では、地盤の隆起を示す変動がみられるほか、島内全体の地温が高くなるなど、火山活動がやや活発な状態で推移しています。

気象庁は火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして、警戒を呼びかけています。

「福徳岡ノ場」に「噴火警報(周辺海域)」

小笠原諸島の近海にある海底火山の「福徳岡ノ場」では、周辺の海域に影響を及ぼす噴火が発生するおそれがあるとして「噴火警報(周辺海域)」が発表されています。

周辺では火山活動によるとみられる海面の変色が確認されるなどやや活発な状態です。

気象庁は、小規模な海底噴火が予想されるとして、周辺海域で警戒を呼びかけています。

警報なし・レベル1もリスク認識を

全国の活火山の中には噴火警報が発表されておらず、噴火警戒レベルが1の火山がありますが、過去に噴火を繰り返してきた活火山であることに変わりはありません。

北海道の十勝岳では、6月7日に2000年以来となる火映が観測されるなど、レベル1であっても火山活動は変化しています。

顕著な前兆が無い中で突然の噴火が起こりうることも改めて認識する必要があります。

最新の情報確認を

各地の火山の活動状況や注意点は、気象庁や各地の気象台、自治体のホームページなどで確認することができます。