自転車・眼鏡が人気 新型コロナ感染拡大で新しい生活様式

新型コロナウイルスの感染拡大で、密を避けるなど新しい生活様式が求められていることで、消費の現場に新たなニーズが生まれています。

自転車の売り上げ 前年比2割増の店も

自転車専門店を展開する「イオンバイク」では、スポーツタイプの自転車の売り上げが、ことし5月以降、前の年と比べておよそ2割増加しています。

30代から50代の男性客が多く、特に東京や名古屋などの大都市圏を中心に販売が伸びています。

通勤時の電車やバスの車内の密を避けようと自転車を利用する人が増えたためだとみています。

子ども用の自転車の売り上げも、前の年と比べておよそ3割伸びています。

会社では、新型コロナウイルスの影響で、外出したり、体を動かしたりする機会が減ったため、自転車に乗って手軽に運動したいというニーズが幅広い世代に生まれたと分析しています。

総務省の家計調査でも、自転車の消費は4月以降、8月まで前の年を大きく上回り、特に8月はおよそ7割増加しました。

イオンバイクの香林貴幸 商品本部長は「他の人との距離をとりながら体を動かすことができるので、自転車を利用する人が増えていてこの需要の高まりはしばらく続くと思う。品ぞろえを強化して販売につなげていきたい」と話しています。

「眼鏡」にも新たなニーズ

新型コロナウイルスの影響で「眼鏡」にも新たなニーズが生まれました。

眼鏡専門店の「Zoff」ではことし6月から売り上げが前の年を上回るようになりました。
なかでも、ブルーライトをカットするレンズをつけた度が入っていない眼鏡の売り上げが好調で、ことし5月以降は、前の年のおよそ2倍の売れ行きだということです。

新型コロナウイルスの影響によるリモートワークやいわゆる“巣ごもり消費”でスマートフォンやパソコンなどの画面を見る時間が増えたことから、目の疲れを感じる人が増えているということです。

会社では、ニーズの高まりから度入りの眼鏡も購入する際にブルーライトカットに無料で変更できるサービスを始めました。

このほか子ども用の眼鏡の売り上げも前の年をおよそ5割上回っていて、オンライン授業などで自宅で画面を見る時間が増えたためだとみています。

Zoff原宿店の五十嵐友明 店長は「コロナで長時間、画面を見つめる生活に変わったため、目を守りたいと来店する人が増えていて、眼鏡の利用者の広がりを感じている」と話していました。

総務省の家計調査では、眼鏡の消費はことし6月から8月まで前年を上回っています。

一方で、コンタクトレンズは3月以降、減少が続いていて、自宅で過ごす時間が増えたことが背景にあるとみられています。

専門家「生活者の行動や街の風景 大きく変えた」

博報堂生活総合研究所の夏山明美 主席研究員は、新型コロナウイルスが新たなニーズを生み出し消費に変化をもたらしていると指摘しています。

夏山主席研究員は「コロナ禍は生活者の行動や街の風景を大きく変えた。その中でテレワークなど、コロナの前にはなかった便利さに気付き始めており、コロナがおさまったあともその便利さに向かっていくだろう」と話し、新型コロナウイルスで変化した消費者のニーズは、感染が収束したあとも続くという見方を示しました。

そのうえで、「企業も生活者が新しい便利さを探し始めていることをキャッチして、従来の当たり前にとらわれないものを生活者に提供することが大事だ」と述べ、新型コロナをきっかけに変化するニーズにいち早く対応していく必要性を強調しました。