クルーズ船集団感染 外国人乗船者の医療費 94%公費負担

ことし2月、新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船で、外国人乗船者の医療費のうち、2億7000万円余りが国の公費負担となっていたことが分かりました。調査を行った専門家は「今後、観光客などの来日が増加するとみられ、医療費を誰がどの程度負担するのか議論が必要だ」と指摘しています。

ことし2月、横浜港に入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、新型コロナウイルスの集団感染が起こり、日本人と外国人の合わせて712人が感染し、医療機関で治療を受けました。

このうち外国人乗船者342人について、国際医療福祉大学の和田耕治教授が、厚生労働省の研究事業として調査した結果、医療費が総額で2億8800万円余りに上り、94%に当たる2億7200万円余りが国の公費負担となっていたことが分かりました。

1人当たりの平均は、およそ80万円でした。

新型コロナウイルスは指定感染症のため、保険診療の対象となる医療費は原則、公費負担となります。

調査結果は近く、訪日外国人観光客のコロナ対策を話し合う自民党のプロジェクトチームの会議に報告されます。

和田教授は「来年は東京オリンピックやパラリンピックもあり、今後、観光客の来日が増加するとみられるうえ、新型コロナの感染が長期化するおそれもある中で、医療費を公費で負担し続けるべきかどうか、議論すべきときに来ている」と指摘しています。