ブラジル政府 新型コロナ 中国製ワクチンの臨床試験一時中断へ

ブラジル政府は、中国の製薬会社「シノバック」が開発している新型コロナウイルスのワクチンについて、ブラジル国内でボランティアなどを対象に行っている最終段階の臨床試験を、一時的に中断すると発表しました。

ブラジル政府は、9日、中国の製薬会社「シノバック」が、サンパウロやリオデジャネイロなどで行っている新型コロナウイルスのワクチンの最終段階の臨床試験について、一時的に中断すると発表しました。

中断の理由についてブラジル政府は、先月29日に、試験の参加者に原因不明の症状が報告され、その原因を調べるためとしています。

ブラジルでは、すでに1万人を超えるボランティアを対象に、中国製のワクチンの臨床試験が行われていて、政府は、ことし中に600万回分を輸入し、年明けからは、中国から技術提供を受けて4000万回分を、国内で流通させる態勢を整えると発表したばかりでした。

ブラジルでは、ボルソナロ大統領が「国民は誰の実験動物にもならない」などと述べ、ブラジル国内で大規模な臨床試験を行う中国製のワクチンに否定的な見方も示しており、今後のブラジルでの中国製ワクチンの使用に影響を及ぼすという見方も出ています。

シノバック「安全性に自信」

これについて、中国の製薬会社「シノバック」は、ホームページ上にコメントを発表し「ブラジルの協力相手からは、今回の原因不明の症状は、ワクチンとは関係がないと聞いている。われわれは、ワクチンの安全性に自信がある。この件については引き続き、ブラジル側と意思疎通を図っていく」としています。