新型コロナ“途上国の実態不明” 専門家 国際的支援強化訴える

発展途上国などで感染症対策に取り組む専門家が東京都内で講演し、途上国では新型コロナウイルスの検査が追いつかず、実態が分からない国があるうえ、外出規制が行われる中、結核やマラリアなどの感染症も見過ごされているとして、国際的な支援の強化を訴えました。

スイス・ジュネーブに本部がある「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」の國井修戦略投資効果局長は9日、新型コロナウイルスの世界の現状などをテーマに、東京 千代田区で講演しました。

この中で國井局長は、世界の感染状況について「ヨーロッパの国々では、ここ最近、春の第1波の水準を大きく超える数の感染者が日々確認されている。一方、アフリカなどの途上国では検査が追いついておらず、実態は分からない」と説明しました。

國井局長によりますと、基金が対策を支援している途上国の6割余りでは、先月初めの時点で感染拡大に伴う外出規制が続いているということです。

こうした影響で、「三大感染症」と言われるエイズや結核、マラリアの感染者が見過ごされ、たとえばフィリピンでは、結核の報告数が外出規制が始まる前の2割以下に減ったとしています。

國井局長は「今後、これらの病気の死亡率に影響しないか心配だ。新型コロナウイルスの検査・診断体制を整えていくことが急務だが、支援は十分ではない。今後、関係機関に働きかけを強めていきたい」と述べ、国際的な支援の強化を訴えました。