北海道 新型コロナ 新たに200人の感染確認 1日で最多

北海道で、9日、新型コロナウイルスの感染が新たに確認された人は、初めて200人に達しました。9日、1日では、現時点で東京都を上回っていて、急速な感染拡大が続いています。

このうち、札幌市では市内に住む144人と、居住地が非公表の14人の合わせて158人の感染が確認され、7日の141人を上回り、これまでで最も多くなりました。

このほか、各地で合わせて42人の感染が確認され、北海道で感染が確認された人は、初めて200人に達しました。

道内の1日の感染確認は、5日続けて100人以上となっていて、道内での急速な感染拡大が続いています。

年代別では、非公表の17人を除いて20代が55人と最も多く、次いで30代が40人などとなっていて、50代が19人、10歳未満も9人いて、感染は幅広い世代に広がっています。

検査数は、1964件でした。

北海道などによりますと、現在の症状は、非公表や調査中の13人を除き、中等症が2人、そのほかの人はいずれも軽症か無症状だということです。

また、200人のうち、70人は感染経路が分からないということです。

これで、道内の感染者は札幌市の、延べのべ2928人を含む、延べ4221人となり、このうち、死亡した人は115人となっています。

宿泊療養147人 自宅待機余儀なく

北海道内では、新型コロナウイルスの感染が急速に広がる中、宿泊療養先のホテルに入ることができない感染者が、8日の時点で札幌市を中心に147人に上っていて、北海道と札幌市は新たな宿泊先の確保を急いでいます。

北海道は、軽症で重症化するリスクが低い感染者の宿泊療養先として、札幌市南区のホテルに670人分を確保していて、8日の時点で宿泊療養している人は453人に上っています。

一方、ホテルで新規に受け入れる人数は、感染防止に向けた準備や対策の必要から、1日50人程度が限度で、8日の時点で147人がホテルに入れず、自宅待機を余儀なくされているということです。

感染者が自宅にとどまれば家庭内で感染が広がるおそれもあり、札幌市は、自宅待機をしている人に身の回りの消毒などの対策を要請しています。

札幌市保健所の秋野憲一宿泊療養調整担当部長は「高齢者と基礎疾患のある人を最優先にホテルに入ってもらっているが、大変厳しい状況と認識している。現在、新たな宿泊先の確保を北海道と連携して進めているが感染者数を減らすことが重要なので、市民の皆様には感染予防策の徹底をお願いしたい」と話しています。

警戒ステージ「3」

北海道は、感染の拡大を受けて、独自に定める「警戒ステージ」を「3」に引き上げ、札幌市の繁華街ススキノの接待を伴う飲食店などに、営業時間などを短縮するよう要請するとともに、道民や事業者に感染対策の徹底を求めています。

7日に北海道が引き上げた「警戒ステージ」の「3」は、国の「ステージ2」に相当します。

北海道の「警戒ステージ」は、国が示した指標をもとに独自に定めたもので、
▽ステージの「2」と「3」が、国の「ステージ2」に、
▽「4」が、国の「ステージ3」
▽「5」が、国の「ステージ4」に、それぞれ相当します。

道内では、連日100人を超える感染確認が続き、病床のひっ迫度合いなどを示す指標は、いずれも悪化していて、8日の時点で、7つの指標のうち5つが、すでに北海道の警戒ステージの「4」、つまり、国の「ステージ3」に相当する基準に達しています。

官房長官「感染者増も病床直ちにひっ迫せず」

北海道の新型コロナウイルスの感染状況について、加藤官房長官は、午前の記者会見で、新規の感染者数が増加傾向にあると指摘する一方、「確保した病床に対する病床の使用率はおよそ20%で、直ちにひっ迫する状況ではないと承知している」と述べました。

そのうえで、北海道庁からの要請を受けて、厚生労働省のクラスター対策班を現地に派遣したほか、全国知事会などの協力によって保健師の応援態勢を構築するなどの支援を行っていると説明しました。

一方、観光需要の喚起策「Go Toトラベル」の対象から北海道を除外するかどうか問われたのに対し、加藤官房長官は「専門家による分科会からは、『国の指標で、ステージ3相当と判断された場合には、感染リスクを総合的に考慮して、当該都道府県を除外することも検討していただきたい』という提言をいただいている。政府として提言に沿って対応したい」と述べました。

札幌ススキノ 飲食店の対応分かれる

北海道が札幌市の繁華街ススキノにある飲食店に酒の提供時間を午後10時までとすることなどを求めたことに対し、店の対応は分かれています。

ススキノにある居酒屋「北の味 大助」は、これまで金曜日と土曜日の営業時間を深夜の午前0時までとしていましたが、7日からは道の要請を受け入れ、午後10時以降の酒の提供をやめ営業時間も午後11時までに短縮しました。

店長の加藤慎吾さんは「ススキノで店をやっている以上、以前のような活気のある街に戻ってもらいたいので、今できることを少しでも手伝いたいと思い決断しました」と話していました。

一方、ススキノのすし店「鮨処 西鶴 五条店」は、夜10時以降も酒の提供を続け、要請に応じた事業者に支給されることになっている20万円の協力支援金を受け取らないことを決めました。

店では、入店の際に検温を行い、37度5分以上の人の入店を断ってきたほか、カウンターには仕切りを設けアルコール消毒も徹底するなど、対策をとってきたといいます。

「鮨処 西鶴」の小野生成統括店長は「午後10時をすぎてから来る客で、お茶だけ飲むという方は場所柄ほとんどいません。それでいて、『この時間は酒は提供していません』という対応をしたら、ますますススキノから客が遠ざかってしまうと思います。ススキノが悪く言われていますが対策を徹底しているので大丈夫だと言いたいです」と話していました。

登別温泉 観光への影響懸念

登別市によりますと、登別温泉では、新型コロナウイルスの影響で観光客の数が大幅に落ち込みましたが「Go Toトラベル」などの効果で、ことし7月ごろから徐々に回復しているということです。

先月30日には、温泉地で親しまれている高さ5メートル以上の閻魔大王のからくりが改修を終えて、およそ10か月ぶりに再開し、9日も観光客が撮影する姿が見られました。

神奈川県から妻と訪れた80代の男性は「札幌は感染者が多いので、今回は旅行を取りやめました。登別温泉でゆっくり過ごしたいです」と話していました。

登別温泉の宿泊施設などでは、感染対策を万全に行っているということですが、今後の観光への影響を懸念する声も上がっています。

登別温泉で土産物店の店長を務める今野幸治さんは「Go Toトラベルのおかげで状況は、かなりよくなっていただけに危機感もあります。私たちの努力で解決できる問題ではないので、今は我慢するしかありません」と話していました。