新型コロナ 陰性でも命に関わる別の病気が10%余 研究グループ

新型コロナウイルスの疑いで国立国際医療研究センターを受診し、入院した人の中に、感染していなかったものの、命に関わる別の病気だった人が10%余りいたことが分かりました。センターでは、流行時でも別の病気で命に関わることがあるため、受診の際には症状を細かく伝えてほしいと呼びかけています。

新型コロナウイルス治療の中核を担っている国立国際医療研究センターは、ことし4月下旬までの1か月半の間に、37度5分を超える発熱があり、せきなど疑わしい症状が出ているとして、保健所などから紹介されてきた人がどのような診断を受けたか調べました。

それによりますと受診した1470人のうち、入院が必要だったのは5.7%に当たる84人で、このうちの45人はPCR検査で新型コロナウイルスへの感染が確認され、39人は陰性でした。

陰性だった人のうち最も多かったのは細菌などによる肺炎でしたが、9人は急性心不全や敗血症性ショック、エイズウイルスの感染による肺炎などで、入院したうちのおよそ11%の人が、新型コロナウイルスではなかったものの、見逃されると命に関わる病気だったということです。

研究グループは、新型コロナウイルスの流行時でも、医師は別の病気も念頭に置いて診察する必要があるとしています。

そのうえで、研究をまとめた森岡慎一郎医師は「特に、持病のある人は僅かな体調の変化に注意し、受診の際に症状を細かく伝えてほしい」と話しています。