社会

育休給付金 新型コロナ影響で東京・大阪で1か月以上の遅れ

育児休業を取得した人への国の給付金の支払いをめぐり、東京と大阪で1か月以上の遅れが続いていることがわかりました。労働局によりますと新型コロナウイルスの影響で増えた電子申請に対応しきれていないのが原因で、遅れを取り戻せるめどはたっていないということです。
支払いに遅れが出ているのは、国の雇用保険から支出される「育児休業給付金」です。

この給付金は全国で年間38万人余りが受け取っていて、2か月に1回のチェックを経たうえで、原則子どもが1歳になるまで休業開始前の賃金に応じた金額が支給されます。

通常であれば、申請が出されてから1週間ほどで振り込まれますが、ことし4月以降、受給者全体の合わせて3分の1以上を占める東京と大阪では1か月以上遅れる状態が続いているということです。

東京労働局などによりますと、新型コロナウイルスの感染拡大により電子申請が増加したのに対し、十分な態勢がとれていないことなどが原因だということです。

現在も東京労働局では9月下旬に出された申請の手続きが行われていて、1か月以上の遅れを取り戻せるめどはたっていないということです。

東京労働局雇用保険課の田代浩之係長は「遅れて申し訳ない。態勢を拡充するなどして電子申請の処理の増加に対応したい」と話しています。

育児休業中の親からは悲痛な声

「育児休業給付金」は、一定期間仕事を休んでいることを確認することなどが条件のため、申請を行えるのは、産後休暇を経た出産の4か月間ほどあとになります。

現在のように手続きが遅れれば、受け取れるのが出産から半年近くあとになるケースもあり、育児休業中の人たちからは、時間がかかりすぎるという困惑が広がっています。

ツイッターには「まだ支払われません。貯金が減る一方」とか、「お金が不安過ぎて毎日体調悪い」などといった悲痛な声もあがっています。

ことし3月に出産し、育児休業を取得した東京都内の30代の会社員のケースでは、最初の育児休業給付金が振り込まれたのは9月下旬でした。

振り込まれるめども分からず、貯金を切り崩しながら生活していたということで、この女性は「おむつやミルクを買う生活費として給付金を頼りにしている部分があったので、いつ振り込まれるか分からないのは不安で、待っているはつらかったです」と話していました。

そのうえで、「お金のことを気にせず安心して休むためにも、できるだけ早く支給してもらいたいです」と話していました。

遅れの原因の「電子申請」の状況

育児休業給付金の申請は、ほとんどは企業などが行い、各地のハローワークに対して行う「窓口申請」と、各都道府県に1か所しかない労働局に対する「電子申請」の2通りがあります。

電子申請の場合でも、労働局の担当者が出勤簿や賃金台帳などを1つ1つ確認することが必要で、今回の遅れには東京労働局と大阪労働局への電子申請の件数が急増したことが大きく影響しています。

特に増えたのは中小企業で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて窓口で手続きしていた企業の多くが電子申請に切り替えたとみられています。

また大企業では、ことし4月1日から育児休業給付金の電子申請が義務化され、これに伴って全国の支社や支店などの申請も本社が行っているため、東京労働局と大阪労働局に申請が集中しているということです。

育児休業給付金を遅れずに支給するためには、電子申請に対応する態勢の拡充が必要ですが、労働局によりますと、失業保険や雇用調整助成金への対応を優先せざるをえず、十分な人手が確保できていないということです。

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