変異した新型コロナ見つかる 家畜ミンク 殺処分へ デンマーク

北欧のデンマークでは、毛皮を採取するための家畜のミンクから変異した新型コロナウイルスが見つかり、人への感染が確認されたとして、政府は国内の農場で飼育されるミンク、最大で1700万匹を殺処分にする方針を明らかにしました。

デンマーク政府は、4日、毛皮を採取するための家畜のミンクの農場で、変異した新型コロナウイルスがみつかり、ミンクから感染したとみられる12人からも確認されたことを明らかにしました。

フレデリクセン首相は、変異したコロナウイルスは、将来、開発されるワクチンの効果を弱める可能性があると指摘し、国内の農場で飼育されるミンクをすべて殺処分にする方針を明らかにしました。

首都コペンハーゲン近郊にある農場では、5日、殺処分が始まり、この農場の男性は、「うちには感染したミンクはいないが、なるべく早く処分しなくてはならない。すべてのミンクを失うのは大きな打撃だ」と話していました。

デンマークは世界でも有数のミンク毛皮の生産国として知られていて、国内で飼育されているミンクは最大で1700万匹にのぼるということです。

これについて、WHO=世界保健機関は5日、ツイッターに投稿し「状況を把握するため、デンマーク当局と連絡を取り合っている」とコメントしています。

ミンクをめぐっては、これまでにオランダやスペインでも、殺処分が行われたということです。

WHO より詳細な検証へ

変異した新型コロナウイルスがワクチンの有効性に与える影響についてWHOの主任科学者、スワミナサン氏は6日、スイスのジュネーブで開いた定例の記者会見で、「今回確認された変異がワクチンの有効性に影響をもたらすのか、今、結論を出すべきではない。そのような証拠は今の段階ではない」と述べました。

そのうえで、危機対応を統括するライアン氏はデンマーク当局と連携してより詳細な検証を進めていく考えを示しました。

アメリカ WHO年次総会に台湾を

一方、今月9日から行われる予定のWHOの年次総会について、アメリカ政府は6日、WHOに加盟していない台湾を招待すべきだと求める声明を発表しました。

これについて、WHOのソロモン主任法務担当官は会見で「オブザーバー参加を認めるかどうかは加盟国の問題だ。WHOは台湾とこれまで通り技術的な協力関係を続けていく」と述べ、台湾が参加するかどうかはWHOの事務局ではなく194の加盟国が決めることだという従来の立場を強調しました。

台湾のオブザーバー参加を巡っては、ことし5月のWHOの総会でもアメリカや日本などから支持する声が上がりましたが、中国が反対する姿勢を崩さず、実現しませんでした。