アメリカ大統領選 バイデン氏が2州で逆転も差はわずか

アメリカ大統領選挙は開票作業の続く州のうち、トランプ大統領が先行していた東部ペンシルベニア州と南部ジョージア州で民主党のバイデン前副大統領が得票数で逆転しました。ただ、いずれの州も両候補の得票数の差はわずかで、各州は慎重に開票作業を続けています。

アメリカ大統領選挙は投票から3日となり、トランプ大統領が214人の選挙人を獲得したのに対し、民主党のバイデン氏は253人を獲得してリードし、当選に必要な270人まで、残り17人となっています。

6つの州では現在も開票作業が続いていて、選挙人が20人の東部ペンシルベニア州と16人の南部ジョージア州ではバイデン氏が先行していたトランプ大統領を得票数で逆転しました。

また、バイデン氏は西部ネバダ州でもリードをわずかに広げています。

一方、西部アリゾナ州ではトランプ大統領がバイデン氏を追い上げ、南部ノースカロライナ州ではトランプ大統領がリードを保っています。

ただ、いずれの州でも両候補の得票数の差はわずかで、当選確実には至っていません。

各州は慎重に開票作業を続けていて、ジョージア州の州務長官は6日、会見し、「得票数の差がわずかなため、再集計が行われるだろう」と述べ、票の再集計の可能性に言及しました。
こうした中、トランプ大統領は6日、日本時間の7日朝、声明を発表し、「違法な票を集計すべきではないと初めから言ってきたのに、民主党はこの基本的な原則にことあるごとに反対した。私はあなたと国のために戦うことを絶対にあきらめない」として、郵便投票を集計しないよう訴えていく姿勢を改めて示し、一歩も退かない構えです。

バイデン氏 国民向けの演説へ

民主党のバイデン氏の陣営によりますと、バイデン氏は6日、国民向けの演説を行うということです。

時間についてはわかっていませんが、アメリカメディアは、現地時間夜の「ゴールデンタイム」に行われると伝えています。

「集計作業には数日かかる」

激戦州ペンシルベニアの最大都市フィラデルフィアのケニー市長は6日、記者会見を開き、集計作業の状況を説明しました。

このなかでケニー市長は集計すべき票がまだ4万票あるとした上で作業には数日かかるという見通しを明らかにしました。

また民主党のケニー市長は記者団から「トランプ大統領に何を求めますか」と問われたのに対し、ペンシルベニアでバイデン氏が得票数で逆転したことを念頭に「率直に言って大統領は子どもじみたことをやめる必要がある。ジミー・カーター氏やジョージ・H・W・ブッシュ氏、それにアル・ゴア氏のように負けを認め、勝者をたたえるべきで、訴訟をやめ、国を前に進めるべきだ。彼が私の言うことを聞くとは思えないが、これが私の思いだ」と述べ、トランプ大統領が選挙の不正を主張し訴訟を辞さない構えを示していることを痛烈に批判しました。

バイデン氏の警備強化か

アメリカの複数のメディアは、バイデン氏が大統領選挙で勝利する可能性が高まっていることに伴って、シークレットサービスがバイデン氏の警備の強化に乗り出したとみられると報じています。

シークレットサービスは、通常、大統領選挙の結果が判明した直後から当選した候補者に対して現職の大統領と同等のレベルの警備をすることになっています。

ただ今回は、トランプ大統領が選挙の不正を主張するなど混乱が起きやすい状況にあるとみて選挙の結果が判明する前にバイデン氏の警備の強化に乗り出した可能性があると伝えています。

また、FAA=アメリカ連邦航空局が、東部デラウェア州にあるバイデン氏の自宅や、選対本部が置かれている会場の周辺上空を臨時の飛行禁止区域に指定したと報じています。

ミシガン州でトランプ大統領の支持集会

トランプ大統領とバイデン氏の激しい競り合いが続くなか、中西部ミシガン州のデトロイトでは大統領を支持する数百人の市民が開票所の前で集会を開きました。

集まった人たちは、複数の州で票の集計作業が続いていることを念頭に、「投票は締め切られている」とか「選挙を盗みとることは許さない」などと書かれたプラカードを掲げ、集計作業をいますぐ止めるよう訴えていました。

また大統領の名前が書かれた旗を振りながら、「勝ったのはわれわれだ」と口々に訴えていました。

集会に参加した男性の1人は「バイデン氏が勝利するなんてあり得ない。トランプ大統領の方が票は多いはずだ」と話していました。

トランプ陣営の訴訟の状況

トランプ大統領の陣営は、投票日以降、激戦州のミシガン、ペンシルベニア、そしてジョージアで相次いで票の集計の差し止めなどを求めて提訴しました。

しかし、裁判所は一部の訴えについて証拠がないなどとしてすでに退けています。

【ミシガン州】
トランプ陣営は4日、激戦州ミシガンで、票の監視にあたる共和党の担当者が郵便投票の集計作業のときに外されたとして、両方の陣営の責任者が立ち会える状況になるまで、すべての集計をやめるよう訴えを起こしました。しかし、州の裁判所は5日、この訴えを退けました。

【ジョージア州】
また、ジョージア州でも、一部の地域で、郵便投票の受け付け時間を過ぎた票が受け付け時間内に届いた票の束に入れられたのを見たという目撃情報があるとして、受け付け時間を過ぎた票が集計されることがないよう、仕分けを徹底するよう求める裁判を4日に起こしました。しかし、地元の裁判所は5日、「受け付け時間以降に票が届いたという証拠がない」としてトランプ陣営の訴えを退けました。

【ペンシルベニア州】
一方、ペンシルベニア州の郵便投票をめぐってトランプ陣営は、11月3日までの消印があれば6日まで受け付けるとした州の最高裁の判断は不当だと主張しています。連邦最高裁判所は、6日まで受け付けることを合法とした州の最高裁の判断について先月(10月)28日、裁決をはかり、8人の判事の判断が4対4で割れ、その結果、州最高裁の判断が維持されることになりました。

ただ、前々日の26日にトランプ大統領が指名し、議会上院で連邦最高裁判事に承認された保守派のバレット判事は、この裁決には参加していません。

トランプ陣営としては、州の最高裁の判断を不服として連邦最高裁で争うべく、手続きを進めています。

ペンシルベニアの開票所近くで男2人逮捕

開票作業が続く激戦州の東部ペンシルベニア州の開票所の近くで5日、男2人が、許可なく銃を所持していた疑いで、逮捕されました。

地元の警察によりますと、銃を持った複数の人物が開票所に向かっているという市民からの通報を受け、最大都市、フィラデルフィアの開票所の周辺を見回っていたところ、銃を所持している男2人を見つけたということです。

フィラデルフィアでは銃を持ち歩くには許可が必要で、警察が職務質問したところ、2人は許可を持っていなかったことから、その場で逮捕したということです。

地元メディアは逮捕された2人が乗っていた車両に、トランプ大統領を支持し、過激な陰謀論を信じる「Qアノン」のQの文字のステッカーなどが貼ってあると報じているほか、この2人がフィラデルフィアの開票所を襲撃する計画で南部バージニア州から来たと伝えています。

警察は、2人が銃を持って開票所の近くにいた目的などについて調べています。

投票総数が過去最多に

開票が続くアメリカ大統領選挙で、これまでに集計された投票総数は1億4300万票あまりにのぼり、過去最多となっています。

連邦選挙委員会によりますと、過去の大統領選挙で投票総数がもっとも多かったのは前回、2016年で、およそ1億3600万票でした。

今回の選挙で民主党のバイデン氏が現時点で獲得している票はおよそ7380万票で、これまでで最も多かった、2008年にオバマ前大統領が初当選した際に獲得した6950万票を超え、こちらも過去最多となっています。

また、トランプ大統領も現時点での得票数が6980万票を超え、オバマ前大統領の票を上回っています。

現地のメディアや専門家は、背景には新型コロナウイルスの感染対策のために多くの州で郵便投票の制度が緩和され、1億人を超える有権者が郵便投票を含む期日前投票を行ったことがあると分析しています。