日経平均株価 終値で2万4325円 29年ぶりの高値

6日の東京株式市場、日経平均株価の終値は2万4300円余りと、29年ぶりの高値まで上昇しました。アメリカ大統領選挙の開票状況をめぐり、不透明感がひとまず和らぐとの見方が広がり買い注文が増えました。

6日の東京株式市場、日経平均株価の終値は、5日より219円95銭、高い、2万4325円23銭と、1991年11月以来、29年ぶりの高値となりました。
4営業日続けての上昇で、この間の値上がり幅は1300円を超えています。

また、
▽東証株価指数=トピックスは、8.55、上がって、1658.49。
▽1日の出来高は、12億3212万株でした。

株価が上昇しているのは、アメリカ大統領選挙で民主党のバイデン前副大統領が当選に必要な選挙人の獲得に近づき、不透明感がひとまず和らぐとの見方が投資家の間で広がったためです。

5日のニューヨーク市場の株価上昇の流れを引き継ぐ形で、東京市場でも多くの銘柄に買い注文が集まりました。

また、中間決算で業績が想定より早く改善している企業があることも株価を押し上げる要因になりました。

市場関係者は「大統領選挙の結果が確定したわけではなく、法廷闘争が長引く可能性も残っている。このまま株価が上昇傾向を続けるのか見通すことは困難だ」と話しています。

証券会社も慌ただしく対応

日経平均株価が29年ぶりの高値まで上昇したことを受け、都内の証券会社では次々と入る売買の注文などに慌ただしく対応していました。

東京 中央区にある「東海東京証券」のトレーディングルームでは、担当者が顧客からの電話の問い合わせに対応にあたっていました。

問い合わせは、アメリカ大統領選挙の結果が確定していないにもかかわらず、株価が高値となっている状況に、どういう姿勢で取り引きに臨めばいいのか、という内容が多かったということです。

そして、午後3時に29年ぶりの高値で取り引きが終了すると、7日以降もどのような対応をとるべきか、担当者が顧客からの問い合わせに応じていました。

東海東京証券機関投資家営業部の宮島洋祐グループリーダーは「29年前だと、私も当時、新入社員として右も左も分からない中で、証券取引所で場立ちをしていたので、正直まだピンと来ない。ただ、株価でも、ようやく海外と肩を並べるところまで来たということなので、今後、新たな展開になってくるのではと期待している」と話していました。

投資家などまちの人は…

日経平均株価の終値が29年ぶりの高値となったことについて、東京 八重洲の証券会社の前で話を聞きました。

このうち79歳の個人投資家の男性は「29年前と違って、日本全体が豊かになっているわけではなく、格差が大きくなっていて、豊かさを実感しにくくなっていると思う。新型コロナウイルスの感染の再拡大やオリンピックが開催できるかなど、今後は不安要素も多い」と話していました。

65歳の会社員の男性は「29年前の景気も異常だったと思うが、コロナで経済が停滞している中で、株価だけが上がっている今の状況も異常に感じる」と話しています。

35歳の男性は、「景気がよくなっているという実感は全くない。アメリカの大統領選挙も早く落ち着いて、景気がよくなってほしい」と話していました。

60歳代の会社役員の男性は、「この株高が最大瞬間風速となるのではなく、アメリカの大統領選挙も含め政治が安定することで株高が続き、景気もよくなってほしい」と話していました。

専門家「スーパー金融相場」

株価上昇の要因について、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは「市場ではバイデン前副大統領の勝利が揺るがないと見込み、政権発足後のアメリカの財政出動などを期待して、世界的に株価が上昇している」と述べました。

そのうえで「日銀だけでなく、アメリカやヨーロッパの中央銀行が大規模な金融緩和を続ける中、行き場をなくしたマネーが株式市場に流れ込んでいる。景気の回復を伴わない株高を『金融相場』と呼ぶが、今はまさしく『スーパー金融相場』だ」と指摘しました。

また、今後の見通しについて「次期大統領が正式に決まれば、新政権への期待感から、年末年始までは株高が続くかもしれないが、アメリカの議会はねじれの状態になる可能性が高い。来年春以降に新政権が思い切った政策が打てない状況となれば、過剰な株高に調整が入ることもあるだろう」と述べました。

ことしの日経平均株価推移

ことしの日経平均株価は、2万3000円台からのスタートでした。

投資家の間では当初、新型コロナウイルスの影響は強く意識されず、株価は1月半ばに2万4000円台に上昇しました。

しかし、その後新型コロナウイルスの感染が拡大し、世界的に人やモノの動きが制限されると金融市場では世界経済の先行きに対する悲観論が一気に広がりました。

2月24日にはニューヨーク株式市場でダウ平均株価が1000ドル以上値下がりすると、25日の東京市場でも終値で780円余り下落しました。

3月に入ってからは、1日で1000円余り値下がりする日もあったほか、中旬には1週間の値下がり幅が3300円を超えました。

1週間の下落幅としては1987年のいわゆる「ブラックマンデー」の週の下げ幅を超えて、過去最大となりました。

3月19日の終値、1万6552円83銭は、ことしの最安値です。

こうした状況に各国の中央銀行は危機感を強め、相次いで大規模な金融緩和に踏み切ります。

アメリカのFRB=連邦準備制度理事会は、3月の臨時会合で、政策金利を1%引き下げて事実上のゼロ金利政策を導入。

直後に日銀も、金融政策決定会合を初めて前倒しで開き、多くの株式をまとめてつくるETF=上場投資信託の買い入れ額を倍増させるなど、金融市場に大量の資金を供給することを決めました。

また、各国の政府が巨額の財政出動によって経済を下支えする姿勢を鮮明にしたことで、金融市場は次第に落ち着きを取り戻していきます。

日経平均株価は4月30日に終値で2万円台を回復。

6月中旬には、新型コロナウイルスの感染の第2波への懸念から、1日で700円以上値下がりする局面もありましたが、欧米でワクチンの開発が一段と進むという期待感もあって株価は上昇傾向を強め、9月3日には2万3465円53銭まで上昇。

半年余りで、新型コロナウイルスの感染拡大によって株価が急落する前の水準を取り戻しました。

その後は、アメリカの大統領選挙をにらみながらの値動きとなりましたが、開票作業が進むにつれてひとまず不透明感が和らぐという見方が広がり、6日、株価は29年ぶりの高値まで上昇しました。

29年ぶりの高値 株価の推移は

平成3年=1991年11月以来の高値となった日経平均株価。

29年前の平成3年は、大型のディスコ「ジュリアナ東京」がオープンし、日本経済にはバブルの余韻が残っていました。

しかし、よくとし、株価はバブル崩壊を受けて、みるみる値下がりし、8月に終値で1万5000円を割り込むと、「失われた20年」の時代に本格的に突入しました。

日本経済が閉塞(へいそく)感に包まれる中、平成9年=1997年には金融危機が顕在化します。

山一証券や北海道拓殖銀行など、名だたる金融機関が相次いで経営破綻し、日経平均株価は平成10年=1998年10月に1万2000円台まで落ち込みました。

その後、アメリカを中心としたいわゆる「ITバブル」によって、2万円台を回復する場面もありましたが、2001年、世界の株式市場が激しく動揺します。

9月11日にアメリカで起きた同時多発テロ事件がきっかけでした。

翌日の日経平均株価は急落。

当時としてはおよそ17年ぶりに終値で1万円の大台を割り込みました。

さらに、2003年、イラク戦争が始まると、日経平均株価は世界経済の先行きに対する懸念から、7600円台に下落しました。

その後、一進一退を繰り返しながらも景気の緩やかな回復を背景に、1万8000円台まで値を戻しますが、2008年、リーマンショックが直撃。

未曽有とも言える世界的な金融危機によって、その年の10月、日経平均株価は取り引き時間中に一時6994円をつけました。

よくとしの2009年3月10日の終値、7054円98銭はバブル崩壊後の最安値です。

その後も、日本経済は東日本大震災、歴史的な円高、出口の見えないデフレといった困難に直面し、国内の株式市場は厳しい状態が続きました。

しかし平成24年=2012年、東京市場に海外からの大量のマネーが集まり出します。

安倍政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」が、投資家たちの期待を押し上げのです。

市場の予想を超えた日銀の大規模な金融緩和は総裁の名前から「黒田バズーカ」と呼ばれ、株価は一転して上昇傾向となりました。

景気の回復も続いたことで、日経平均株価はおととし10月には2万4200円余りまで値上がり。

当時としてはおよそ27年ぶりとなる高値でした。

ことしに入ってからは新型コロナウイルスの感染拡大という想定外の事態に見舞われ、3月には日経平均株価が1000円以上急落する日もありました。

これに対して、日銀は、多くの株式を集めてつくるETF=上場投資信託の買い入れ量を倍増させるなどの追加緩和策を決定。

株式を買い支える姿勢を鮮明にし、市場の動揺を抑え込むことにひとまず成功し、株価は実体経済とは対照的に上昇基調を取り戻す形となっていました。

日経平均とNYダウとの比較

29年前の1991年11月13日、ニューヨーク市場のダウ平均株価の終値は3065ドル余りでした。

バブル崩壊の影響で日経平均株価が、その後低迷したのとは対照的に、ダウ平均株価は順調に上昇を続け、1999年3月、初めて1万ドルを突破しました。

2001年に起きた同時多発テロ事件や、2003年のイラク戦争の際には1万ドルを大きく割り込みますが、その後は再び上昇基調となり、2007年に1万4000ドル台に到達しました。

しかし、2008年のリーマンショックを経て、2009年3月、6500ドル余りにまで落ち込みました。

その後はアメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会の金融緩和やIT企業の成長、いわゆるシェール革命などを背景に、再び上昇していきます。

そして、4年前の2016年11月にトランプ氏が大統領選挙に勝利すると上昇のペースが加速しました。

ダウ平均株価は2017年1月に2万ドルを突破し、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が広がる前の、ことし1月に2万9000ドル台まで上昇しました。

日経平均株価が当時の水準を取り戻すのに30年近くかかったのと対照的に、ダウ平均株価は、当時のおよそ9倍の水準に上昇しています。

官房長官「必要あれば経済対策を行う方針」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「株価のひとつひとつの動向にコメントは控えたいが、安倍政権で、デフレ不況からの脱却と持続的な経済成長の実現に取り組んできており、『菅政権でも、しっかり継承し、さらに前に』と菅総理大臣が言っているので、そうした方向でしっかり取り組んでいきたい」と述べました。

そのうえで「新型コロナウイルス感染症で、日本経済は依然として厳しい状況にあるものの、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、持ち直しの動きが見られていると認識している。経済状況や感染状況も注視し、必要があれば、ちゅうちょなく臨機応変に時機を逸することなく、経済への対策を行っていく方針だ」と述べました。