「経済財政白書」“経済立て直しにデジタル技術の定着必要”

政府は今年度の「経済財政白書」で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、テレワークなどの柔軟な働き方やネット通販の利用が拡大したことを挙げ、日本経済の立て直しには、こうしたデジタル技術を定着させることが必要だと指摘しています。

政府の「経済財政白書」は、毎年7月ごろにまとめられますが、ことしは新型コロナウイルスの影響を分析する必要があるとして、この時期にずれこみました。

ことしの白書では、感染拡大に伴う社会の変化として、テレワークを導入する企業が大幅に増え、柔軟な働き方が広がったことを挙げています。

また、緊急事態宣言をきっかけに、ネット通販や動画配信といった電子商取引の利用が中高年の世帯で増加し、特に70歳代以上の世帯では7月の利用額が去年の同じ月より4割余り増えたことを挙げています。

一方で、システムコンサルタントなどのIT人材が不足し、一部の業種にかたよっているとして、人材の育成が必要だと指摘しています。

そのうえで、大きな打撃を受けた日本経済の立て直しには、人材不足などの課題を克服し、「新たな日常」に向けたデジタル技術を定着させることが必要だと結んでいます。

西村経済再生相「変革のラストチャンス」

今年度の経済財政白書について、西村経済再生担当大臣は、閣議後の記者会見で「新型コロナウイルスの影響で経済が落ち込む中、デジタル化の遅れなどわが国の経済が抱えてきた長年の課題が浮き彫りになった。こうしたことへの危機感を込めて、白書の副題を『コロナ危機、日本経済変革のラストチャンス』とした」と述べました。

そのうえで、西村大臣は、「多くの人に日本経済が直面するさまざまな課題への認識を深めてもらい、強い決意とスピード感を持って日本経済の変革に挑んでいきたい」と述べました。