気づいてくれてありがとう

気づいてくれてありがとう
赤地に白の十字とハートの「ヘルプマーク」。見たことある人も多いのではないでしょうか。けど、これって何のマーク? 裏側には大切な情報が書かれていることも。みなさんに知ってほしい。そんなお話です。
(ネットワーク報道部 記者 大窪奈緒子 林田健太)

駅で助けてくれて

今月1日、ヘルプマークの裏側を写した写真とともに投稿されたこんなツイートが話題になりました。
「駅で気分が悪くなりうずくまっていたところ、女性の方が声をかけて下さり助かりました。めまいと気持ち悪さで話すことができなかったので、どうしてもお礼がしたいです。ヘルプマークに気づいて周りの方に伝えてくださり、とても安心しました。」
ヘルプマークの裏側には、手書きの文字で、自身の病気について詳しい症状や対処法が書かれていました。

“知らなかった” “広がってほしい”

この投稿は瞬く間に拡散し、多くのコメントが寄せられました。
「どんなお手伝いができるかわからないので、こんな感じでお知らせいただけると、尻込みせず微力ながらもお力をお貸しできます。広がればいいですね」
「大事ですね、そういうカードは。お大事に。私も気を付けます、気づけるように」
「私の姉もこのヘルプマークを付けています。一見障害があるようには見られないので、付けているのだと思いますが、もっともっとこのマークが浸透すると良いなと思います」
助ける側、助けられる側など、さまざまな人たちから共感の声が上がりました。

「ヘルプマーク」とは

ツイートで話題になったヘルプマーク。

皆さんは知っていたでしょうか。

ヘルプマークの誕生は8年前。

外見ではわからない病気や障害などがあり、援助や配慮が必要な人たちが周囲に知らせられるよう、東京都が作成しました。

対象は、内臓や免疫機能に障害のある「内部障害」の人や、義足や人工関節を使っている人、難病の患者、耳の不自由な人、それに妊娠初期の女性など。

一見、健康そうに見えても疲れやすいなど援助が必要な人たちが「事情をわかってほしい、手を貸してほしい」という思いで使っています。

東京に続いて各地で普及が進み、東京オリンピック・パラリンピックに向けて全国共通の表示として採用され、ことし5月の時点では全国44の都道府県で配布されています。

東京都の場合、地下鉄の駅やバスの営業所、都立病院などで無料でもらうことができ、希望すれば郵送での配布も受け付けています。

連絡先や具体的な症状、対処法などを書き込むためのシールもあわせて提供され、ヘルプマークの裏に貼り付けられるようになっています。

もっと知ってほしい

ただ、このヘルプマーク、まだまだ認知度が課題です。

8年前に最初に導入した東京都では、これまでに累計37万枚を配布しましたが、去年11月に都民に行った調査では、ヘルプマークを「意味も含めて知っている」と答えた人は59パーセント。

去年5月に配布を始めたばかりの石川県では、同時期の調査で「意味も含めて知っている」は32.6パーセントにとどまり、各自治体や民間企業などが地道な啓発活動を続けています。

マークの身に付け方 工夫する人も

ヘルプマークをもっと知ってもらいたい。

そんな思いから、ヘルプマークに付けて使うバッジを作った人もいます。
名古屋市に住む加藤那津さん(42)。

乳がんのステージ4で、抗がん剤などの治療をしながら、若年がん患者の会「くまの間」を運営しています。

7年ほど前から、出かける時は必ずヘルプマークを身につけていますが、周囲にはまだマークを知らない人が多く、通っている病院で看護師さんに「そのマークはなに?」と聞かれたこともあるそうです。

患者の会の仲間からも「マークを付けて優先席に座っていても、冷ややかな目で見られる」「そもそもマークが知られていない」といった声が上がっていたといいます。

「バッジ」にメッセージを添えて

そこでことし9月、加藤さんはヘルプマークに付けて使うバッジを作成。

その名も「見えないつらさバッジ」で、ネット上で販売を始めました。

直径4センチほどのアルミ製で、クマやウサギなどのかわいらしいイラストに「あなたの助けが必要です」「通院治療中です」「見えないかもしれないけど内部障害があります」という3種類のメッセージが添えられています。

これまでに東北から沖縄まで全国から注文があり、「ヘルプマークに気づいてもらえないことがあるのでありがたい」「かわいいキャラクターのおかげでヘルプマークも気負いなく付けられるようになった」などの感謝の声が寄せられているそうです。

「目に見えない病気や障害を知ってもらえたら」

さらに加藤さんは、ヘルプマークと見えないつらさバッジのほか、ネームホルダーも加えて「3点セット」で身につけています。
ネームホルダーには、生年月日や血液型、通っている病院名や心臓マッサージの際の注意点まで書いていて、もし急に倒れても、救急隊の人に病気の詳細を伝えたいと考えています。
加藤那津さん
「マークやバッジを通じて、目に見えない病気や障害を抱えている人がいるのだということを知ってほしいです。また、若くても優先席に座る何らかの理由があるのだということも知ってもらえたらうれしいなと思います」

マークを見かけたら 意識だけでもしてもらえれば

加藤さんのように、よりわかりやすく伝わるようにと、使う人たちも考えています。

ヘルプマークを見かけた側も、うまく対応できるといいですが、「どう接していいかわからない」という声もあるようです。

「マークを身につけた人がいたらどうすればいいか」という問いに対して、東京都は次のようなことを紹介しています。
●電車・バスの中で席を譲る
●駅や商業施設などで声をかけるなどの配慮を
(交通機関の事故など突発的な出来事への対応や、歩行・階段の昇降などが難しい人も)
●災害時は安全に避難するための支援を
それでも急には声をかけづらい、という人もいるかもしれません。

東京都の担当者はこう話していました。
東京都の担当者
「ヘルプマークをつけている人を見かけたら、積極的に声をかけることができなくても、意識だけでもしてもらいたいです。そして、何か困ったことが起きたときに声をかけてあげてほしいです」
もしも街なかでヘルプマークを見かけたら。

まずはせめて、優しい気持ちで気にかけてあげられたらいいですね。