原発テロ対策施設 “トラブル情報公表は復旧後” 原子力規制委

原子力発電所がテロなどに襲われた際の安全確保のため、バックアップ施設が国内で初めて、九州電力の川内原発に今月完成する見通しですが、原子力規制委員会はこの施設でトラブルがあった場合は、テロ対策の観点から原則、復旧するまでは公表しない方針を決めました。専門家は原発のトラブル情報を出せない場合は、理由を丁寧に説明する必要があると指摘しています。

原子力規制委員会は、テロリストに襲われたり、災害で重大な事故が起きたりした時に、制御室や発電機などバックアップの設備を備えた「特定重大事故等対処施設」の設置を義務づけてていて、今月、九州電力の川内原発1号機で、全国で初めてこの施設が完成する見通しです。

規制委員会は4日、施設でトラブルが起きた場合の公表方針を議論し、原則、復旧が終わるまでは発表を行わず、詳細情報は盛り込まないこと、また原子炉の停止につながるような重大なトラブルは速やかに発表は行うものの、詳細は控えることを決めました。

通常、原発のトラブル情報は速やかに公表するとしていますが、この施設についてはテロリストに詳細を知られるリスクを避けるためとしています。

これについて科学と社会の関係に詳しい千葉大学の神里達博教授は「原発のリスクはテロだけでない。安全対策を広く議論できるように情報は必要。国と電力会社はトラブル情報を出せない場合は、理由を丁寧に説明する責任がある」としています。

原子力規制委員会委員長 「兼ね合い難しく継続的に検討」

原発のテロ対策施設でトラブルがあった場合、原則、復旧するまでは公表しない方針を決めたことについて、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「透明性を高めるため、なるべく速やかに情報を発信したい一方で、テロリストに対して弱みを伝えることは避けたい。テロ対策の施設はどちらにも兼ね合いがある難しい問題で、致し方ないと考えている」と述べました。

そのうえで、「現時点の情報公開の方針を整理できたので、ここで考えることやめずに、引き続き同じような情報をどのように発信できるか、継続的に検討を進めたい」と話していました。

専門家「社会への丁寧な説明が大事に」

原発のテロ対策施設でトラブルがあった場合、原則、復旧するまでは公表しないと原子力規制委員会が方針を決めたことについて、科学と社会の関わりに詳しい千葉大学の神里達博教授は「国や電力事業者がテロリストのリスクを考え、公開できない情報があるのはしかたない部分はあるが、しかし、やみくもに非公表を増やしていくと、社会の理解は得られにくくなる。解決方法としては、例えば、どうしてその情報が出せないのか。どんな情報だと非公表になりうるのか。実際に問題が起きるより前に原発が立地する地域の人、社会に対して丁寧に説明しておくことが大事ではないか。そうすることで社会の納得につながり、ひいては原発のリスク管理全体にもよい影響を与えていくだろう」と提言しています。