タクシー乗車 マスク着用拒否は断ります 事業者の申請を国認可

国土交通省は、都内のタクシー事業者が申請していた新型コロナウイルスの感染防止対策を認可しました。
利用者にマスクの着用を求めても理由なく拒否された場合に運転手が乗車を断ることができるとするもので、今後、業界に広がる可能性があります。

東京都内の大手タクシー会社や個人タクシーなど10の事業者は、運転手が利用者にマスクの着用を求めても病気など正当な理由なく拒否された場合に乗車を断ることができるよう「運送約款」と呼ばれる事業者ごとに定めるルールの変更を国土交通省に申請していました。

国土交通省は、事業者のルールがマスクを着けていない人を一律に断るものではなく、運転手がマスクの着用を利用者にお願いすることを基本としていて、運転手だけでなく次に乗車する利用者の感染防止対策になるとして、これら10の事業者の申請を認可しました。

背景には、酒に酔ってマスクをつけずに大声で話す利用者がいて、運転手が不安を抱えているという相談が寄せられていたことなどがあります。
タクシーの乗車を断る理由にマスクの着用を求める事業者のルールを認可したのは初めてです。

今後、タクシー業界やほかの公共交通機関の新型コロナウイルスの感染防止対策として広がる可能性があります。

マスク未着用の人の割合は…

事業者ごとのルール・運送約款の変更が認可された都内の大手タクシー会社、日の丸交通は、ことし9月、マスクをつけていない利用者がどのくらいいるのか、ドライブレコーダーの映像をチェックして調査を行いました。

各営業所ごとに3日分をチェックした結果、利用者2843人のうち、
▽マスクをつけていたのは81%に当たる2305人で、
▽19%の人はマスクをつけていませんでした。
また、会社によりますと酒に酔ってマスクをせずに大声で話す利用者がいて、運転手はマスクの着用を頼むことができず不安を訴えるケースがあるということです。

タクシー会社「次のお客様 守ることにつながる」

会社では、これまでトラブルになるおそれがあるとして、マスクの着用を求めることが難しかったということですが、今後はマスクの着用など感染対策をお願いすることができるようになるとしていて、具体的な対応方法を検討し、運転手に周知することにしています。

日の丸交通は「運転手のためだけでなく、次のお客様を守ることにつながることなので、感染対策を丁寧にお願いするよう取り組んでいきたい」としています。

運転手からは

20代の運転手は「お客さまの安心と、われわれ運転手の安心を考えるとマスクの着用は伝えなければならない内容で、認可されたことで言いやすくなります。あいさつの際に自然に言えるようにしたいです」と話していました。

50代の運転手は「こちらからは言いづらいので助かります。お客様が日頃から心がけてくださるようになるとありがたいです」と話していました。

航空 鉄道もマスク着用呼びかけ

一方、国内の航空各社でつくる「定期航空協会」は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、空港と機内では着用が難しい理由がある場合を除いて、マスクの着用を求めることなどを周知しています。
これを受けて航空各社は、理由の説明がなくマスクの着用に応じない場合は、搭乗を断ることも含めてきぜんとした対応をすることにしています。

また、鉄道各社でつくる「鉄道連絡会」でも、マスクを着用し車内での会話を控えめにするよう呼びかけています。