アメリカ大統領選は激しい競り合い 勝敗の行方は残る激戦州に

アメリカ大統領選挙は再選を目指すトランプ大統領と政権奪還を狙うバイデン前副大統領が激しく競り合い、勝敗の行方はラストベルトの3州を含む激戦州に持ち込まれました。開票作業が続くなか両者はそれぞれ演説して勝利に自信を示しましたが、トランプ大統領は結果によっては法廷闘争も辞さない構えを見せています。

3日投票が行われたアメリカ大統領選挙は開票が進み、ABCテレビはトランプ大統領が地盤とする州や激戦州の南部フロリダをおさえる一方、バイデン前副大統領は民主党が強い東部や西部の州などで勝利を確実にしたと伝えました。

大統領選挙で勝利するには全米で538人の選挙人の過半数270人を獲得する必要があり、9州を残してトランプ大統領が213人、バイデン氏が225人となっていますが、アメリカのメディアは当選確実を伝えておらず大勢は判明していません。

バイデン氏「勝利に向かっている」

開票作業が続くなかバイデン氏は日本時間の午後2時半ごろ地元のデラウェア州で演説し、「結果が出るのは朝になるかも知れないし、もっと長くかかるかも知れないが、状況はよい。わたしたちは勝利に向かっていると信じている。記録的な期日前投票の開票を忍耐強く待つべきだ」と述べました。

トランプ大統領「はっきりいって私たちは選挙に勝った」

一方、トランプ大統領は日本時間の4日午後4時すぎからホワイトハウスで演説し、「はっきりいって私たちは選挙に勝った」と述べて勝利に自信を示しました。ただ激戦州での開票作業を巡り「勝っていたが突然、止まった。これは国民に対する不正行為だ。私たちは連邦最高裁判所で争う」と述べて、一方的に不正を主張し、結果によっては法廷闘争も辞さない構えを見せました。

勝敗の行方は激戦5州に

これまでのところトランプ大統領とバイデン氏が勝利を確実にした州は前回4年前の選挙とほぼ同じで、勝敗の行方はまだ結果が判明していないラストベルト=さびついた工業地帯と呼ばれるペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンと西部アリゾナ、南部ノースカロライナの激戦5州に持ち込まれました。

今回の選挙では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて多くの州で郵便投票の制度が緩和されるなどした結果、期日前投票が1億票を超え、投票総数も過去最多になると分析されています。

また激戦州のノースカロライナやペンシルベニアでは投票日のあとに到着した郵便投票も受けつけることから、大勢が判明するまでにまだ時間がかかる可能性もあります。

SNS上でうそや誤解を招く情報も

激戦州の1つ東部ペンシルベニア州の投開票をめぐり、アメリカの複数のメディアは、SNS上で、うそや誤解を招く情報が複数、投稿されたと伝えています。

AP通信など複数のメディアによりますと、3日、ペンシルベニア州の選挙管理委員会で働いていると自称する人物が、インスタグラムに「トランプ大統領に投じられた100を超える票を捨てた。これでペンシルベニア州は民主党が勝利した」と投稿したということです。

これに対し、州の選挙管理委員会は、「投稿した人物は選管で働いてもいなければ、有権者としても登録されていない」として、うその情報が出回っていると声明を発表しました。

同じ情報がツイッターやフェイスブックにも拡散されましたが、事実ではないとして投稿は削除されたということです。

このほかにも、ペンシルベニア州の投票所で、民主党のバイデン氏を支持する内容の掲示物が設置されているのは違反ではないかとする投稿がツイッター上で拡散しました。

これに対して地元の検察当局は、調査したところ掲示物は離れたところにあり問題はなかったとしたうえで、「意図的にだまそうとしている」と注意を呼びかけました。

専門家「トランプ大統領は激戦州の集計で不正と主張か」

トランプ大統領が「連邦最高裁判所で争う」と発言したことについて、駿河台大学の島伸一名誉教授は「短い発言なので、真意を十分にくみ取ることは難しいものの、激戦州の南部ノースカロライナ州での集計を今後も続けるとしていることが不正にあたると主張しているとみられる」と指摘しました。

ノースカロライナ州には15人の選挙人が割り当てられていて、前回の選挙ではトランプ氏が勝って、そのすべてを獲得しました。

州の選挙管理委員会の速報値によりますと、今回はトランプ大統領がバイデン氏をおよそ7万7000票、得票率にして1.41ポイント上回っていますが、日本時間の4日午後2時半以降、集計は更新されていません。

郵便投票は投票日当日の消印まで有効とされているため、12日まで受け付けられ、今後も集計が続くとみられます。

島名誉教授は「ノースカロライナ州では、残りの郵便投票などの票が上積みされれば、バイデン氏が勝つ可能性が残されている。現時点で訴えるような理由はないと考えられるし、最高裁判所にいきなり訴えることはできず、通常は下級裁判所に訴える手続きをとるはずだ」と、トランプ大統領の発言に疑問を呈しました。

一方で「集計作業に何らかの違法性があったと主張して訴訟を起こすこと自体は可能だ。その場合、結果が出るまで時間がかかり、混乱する可能性がある」と懸念を示しました。

期日前投票 1億人超え

全米の投票状況を分析しているフロリダ大学の集計によりますと、期日前投票は、3日午後の時点で、前回選挙の投票総数の74%にあたる1億人を超えました。

このうち、全米で少なくとも6524万人余りが郵便投票で投票したと推計され、3592万人余りが投票所を訪れて投票したとみられます。

フロリダ大学のマイケル・マクドナルド教授は期日前投票を終えた人は過去最多に上っているとしたうえで、前回の大統領選挙に比べて、多くの人が投票日を待たずに期日前投票を済ませていると分析しています。

また、今回の選挙では、投票者数は過去最多の1億6020万人に上り、投票率も過去最高の67%に達するとの見通しを示しています。

ホワイトハウス周辺に「アンティファ」とみられる集団

首都ワシントンでは、3日夜になって反ファシズムを掲げる「アンティファ」とみられる集団がホワイトハウス周辺に集まり、一時、騒然としました。

黒い洋服を着た百数十人の集団は、花火とみられるものを空中に上げながらホワイトハウス周辺に集まりました。

その後、首都の広範囲を歩いて回っていますが、これまでの所、大きな衝突などは起きていないとみられます。