“GoTo”地域共通クーポン 不正受給 疑われるケースも

観光需要の喚起策「GoToトラベル」で利用客に発行される「地域共通クーポン」について、観光庁は、不正受給が疑われるケースが複数起きているとして、注意を呼びかけています。

「GoToトラベル」で利用客に発行される「地域共通クーポン」の電子クーポンは宿泊当日の午後3時以降、予約番号などを入力すればチェックインの前に受け取れる仕組みになっています。

観光地を巡ってから宿泊施設に入ることを想定しているためですが、観光庁によりますと、予約した宿泊を無断にキャンセルをしながら、電子クーポンを受け取る不正受給が疑われるケースが複数起きているということです。

観光庁では注意を呼びかけるとともに不正使用が確認された場合は警察と連携して対応することにしているほか、不正への対策も旅行会社などと進めているということです。

不正受給目的の予約が発生 ホテルでは注意

東京の都心にあるホテルでは、一部の旅行会社から、地域共通クーポンの不正受給を目的とした予約が発生しているというメールが届き、注意をしています。

東京・千代田区のホテルでは、10月20日、大手旅行会社が運営する販売サイトを通じて「GoToトラベル」を利用し、大人8人が翌日21日から10連泊する予約が入ったということです。

宿泊料金は総額で53万6000円でした。

前日で複数日程のまとまった予約にもかかわらず、当日、予約客は現れず、携帯電話に連絡してもつながらず、無断キャンセルだと販売サイトに報告しました。

販売サイトを運営する旅行会社からは、地域共通クーポンの不正受給を目的とした予約が発生しているという注意喚起のメールが届いていて、ホテルでは無断キャンセルは不正受給が目的ではないかと考えているということです。

同じ販売サイトからは、別の名前で入った2人で4泊の予約についても不正の疑いがありキャンセルしてくださいと連絡があったということで、ホテルでは注意をしているということです。

社長の小林大介さんは、「利用者が6割減と苦しい中で、無断キャンセルだと宿泊費が入らないのでとても困る。クーポンを不正に取得しようということであれば許せず、一刻も早くシステムを改善してほしい」と話していました。

地域共通クーポンの仕組み

「地域共通クーポン」は、「GoToトラベル」を利用した旅行客の旅先での消費を喚起しようと、10月から配布が始まりました。

宿泊の場合、1人1泊当たり、旅行代金の最大15%分が6000円を上限にクーポンとして発行されます。

そして、旅行期間中、宿泊地のほか、それに隣接する都道府県の飲食店、土産物店、レンタカー、タクシーなどで利用できます。

クーポンは、紙で発行されるものと、オンラインで発行される「電子クーポン」の2つあり、このうち、紙のクーポンは、旅行に出発する前か宿泊施設にチェックインした日に受け取れます。

一方、電子クーポンは、宿泊当日の午後3時以降にオンラインで発行されます。