アワビなど密漁のおそれある水産物の流通防ぐ法案を閣議決定

アワビやナマコなどの密漁が後を絶たないことから、漁業者や流通業者に国などへの届け出や取り引きの記録の保存などを義務づける法案が30日の閣議で決定されました。

アワビやナマコなどの水産物の密漁は増加傾向が続いていて、資源の減少を招き漁業者の経営を圧迫すると指摘されています。

このため、法案では、密漁のおそれがある水産物の漁を行う場合、漁業者や団体はあらかじめ国や都道府県に届け出ることが義務づけられ、その際に専用の番号が通知されます。

漁業者や団体は、買い受け人などに対し、この番号に水産物を販売した日付などを加えた「漁獲番号」を伝えます。その後の流通や加工の段階で、それぞれの業者は、この「漁獲番号」に加えて取り引きの日付や数量を記録し、保存することが求められます。

さらに、こうした水産物の輸出には国が発行する証明書を添えることを条件とするほか、海外から輸入する場合もその国の政府機関などの証明書が必要となります。

対象となる水産物は、今後、専門家による委員会で協議して省令に盛り込むことにしていて、政府は今の国会で法案の成立を目指すことにしています。

法案 流通段階でのチェックを強化

農林水産省によりますと、2年前の平成30年に海上保安庁や警察などが検挙したアワビやナマコなどの密漁の件数は1485件に上っています。このうち、暴力団など漁業者以外の密漁が全体の8割近くを占め、20年前と比べて5.5倍に急増しています。

これに伴って、去年のアワビの漁獲量は、平成10年の4割以下に、ナマコも平成18年の6割ほどに減るなどしていて、資源の減少や漁業者の経営を圧迫すると懸念されています。

政府は、おととし漁業法を改正し、アワビやナマコなどを密漁した場合、懲役3年以下、または3000万円以下の罰金を科す制度を新たに設けるなどして対応を強化してきましたが、水産物はいったん市場に出回ると密漁されたものかどうか区別がつかないため、今回の法案では、流通段階でのチェックを強化することにしました。

農林水産省によりますと対象となる水産物は、
▽国内ではアワビやナマコ、
▽輸入については、海外で違法な漁の事例が報告されているイカやサンマが想定されるということです。

一方、漁業者や流通業者にとっては新たな負担となるため、政府は、制度の定着に向けて記録のデジタル化などを進めたいとしています。