“難民救助船の出港差し止めは不当” NGOがイタリア政府を提訴

アフリカからヨーロッパに渡る移民や難民が絶えない中、イタリア政府が地中海で活動する救助船の出港を差し止めたのは不当だとして、救助活動をしているNGOが取り消しを求める訴えを起こしました。

今月23日に訴えを起こしたのは、ドイツのNGO「シーウォッチ」です。

「シーウォッチ」は国際的な医療援助団体「国境なき医師団」と共同で船を運航し、地中海をわたってヨーロッパを目指す移民や難民の救助にあたっていますが、先月(9月)19日、イタリア南部のパレルモの港で当局による船の検査のあと、出港の差し止め命令を受けたということです。

イタリア政府は差し止めの理由について、救命胴衣の不足や排水装置の不備などを挙げているということです。

ただ、地中海では、ほかのNGOの船も差し止め命令などによって、救助活動の中断を余儀なくされているということで、今月3日、4つのNGOが共同で声明を発表し、当局の措置を、移民や難民の流入を防ぐための口実だと批判するとともに、EU=ヨーロッパ連合の枠組みでの受け入れを求めました。

ことしは新型コロナウイルスの影響で、アフリカでも経済が落ち込んでいることなどから、地中海を渡ろうとする移民や難民は後を絶たず、国連によりますと、渡航中の事故などでことしだけで700人以上が死亡したということです。

乗船する日本人助産師「一刻も早く救助活動に戻りたい」

この船では、「国境なき医師団」に所属する日本の小島毬奈さんも活動していました。

小島さんは東京都内で助産師として働くかたわら、南スーダンや、バングラデシュのロヒンギャの難民キャンプなどに赴き、妊婦や乳幼児の健康管理や、性暴力の被害者のケアにあたってきました。
地中海での救助活動には2016年と去年、そして、ことしの合わせて3回参加し、救助した妊婦の出産を船の上で手伝ったこともあると言います。

ことしは8月中旬にスペインの港を出発したあと、リビアの沖合で、スーダンやリビアの出身者など350人ほどを救助したということです。

小島さんは、「地中海を渡ろうとする人が去年より増えていると感じます。感染防止のため、当初はあまり多くの人を乗せないようにしていましたが、結局いっぱいになりました」と振り返ります。

いまは船が出港できないため、パレルモの港で活動の再開に備えて、救助した人たちに配る毛布など冬の時期の航海に向けた準備をしているということです。
小島さんは、「これから寒くなり、冬の海は死亡率も上がります。何もしていない今の時期はつらく、無力感を感じます。裁判所の判断に望みを託し、一刻も早く救助活動に戻りたいです」と話していました。