新型コロナ 専門家会合 全国の感染「微増傾向が続いている」

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、全国の感染状況について「微増傾向が続いている」と評価しました。これまでは「ほぼ横ばいから微増」としていましたが、感染者の集団=クラスターの発生で感染者の増加が見られる地域があることなどから「微増」としていて、クラスターからの感染拡大を防ぐ対策とともに、医療体制の準備が必要だとしています。

会合では、専門家が全国の感染状況について、「8月の第1週をピークに、減少が続いた後、ほぼ横ばいであったが、今月以降は、微増傾向が続いている」と評価しました。

特に北海道や東北・北関東の一部、沖縄などを中心に増加が見られ、背景としてクラスターが発生していることや移動が活発化する中、首都圏で感染が減少しないことなどを挙げています。

また、入院患者の数は横ばい傾向で、10月21日の時点では、沖縄県など一部の地域では受け入れが可能な病床に対する割合が高い水準になっているところがあります。

一方、重症患者は10月上旬から増加の動きが見られましたが、減少に転じているとしています。

専門家会合は、感染が拡大している地域では医療や療養の体制を準備することや、地方の歓楽街や外国人のコミュニティーでもクラスターが発生していて、これまでと異なる場から感染が拡大するおそれもあるとして、対象者の特性に応じた情報提供や関係者への積極的な検査など、早期に適切な対応が求められるとしています。

脇田隆字座長は、「クラスター対策をしないとヨーロッパのような爆発的な感染拡大が起きてしまう。多様化するクラスターにもしっかり対応する必要がある」と話しています。

自費での検査機関の情報を提供へ

28日の会合では、自費でのPCR検査を実施している民間の検査機関などへの対応についても話し合われ、厚生労働省から、検査機関の詳しい情報を集め、ウェブサイトなどを通じて公開していく方針が示されました。

新型コロナウイルスの検査では、症状が無く、感染している可能性が低くても、仕事や出張などで必要な人が自費でPCR検査を受けるケースが広がっています。

これについて28日の会合では厚生労働省から、自費検査を受ける利用者が検査機関を選ぶ際に必要な情報を得られるよう、環境整備を進める方針が示されました。

この中では、検査機関が情報提供するべき事項の案として
▽検査費用やサービス内容、
▽医師による診断の有無、
▽医療機関との提携の有無など、12の項目についてホームページなどで公開すること、
▽陽性となった場合の具体的な対応を、利用者に説明することなどを、挙げました。

また、厚生労働省も検査機関から、こうした情報を集め、年内にウェブサイトなどで公表していくということです。

厚生労働省では「情報の開示が進めば、利用者が納得できる価格と質の自費検査を受けられるようになる。保健所の負担にならないよう、自費検査の仕組みを、今後もさらに検討をしたい」としています。