コロナ抗原検査 簡易キットで「偽陽性」全国で少なくとも125件

新型コロナウイルスへの感染を短時間で調べられる「抗原検査」の簡易キットについて、日本感染症学会がアンケートを行ったところ、実際には感染していないのに「陽性」となる「偽陽性」が疑われるケースが、全国で少なくとも125件あったことが分かりました。
学会では、簡易キットの正しい使い方を徹底するよう呼びかけています。

新型コロナウイルスの「抗原検査」は、ウイルスに含まれる特徴的な物質を調べるもので、その場で結果が分かる簡易キットが医療現場などで使われています。

この簡易キットについて、まれに実際には感染していないのに「陽性」になる「偽陽性」が出るという指摘があることから、感染症の専門医などで作る日本感染症学会が全国の会員を対象にアンケートを行いました。

その結果、これまでに「偽陽性」を疑う症例があったという報告が61施設から、合わせて125件寄せられたということです。

また、簡易キットで陰性かどうかまで含めた診断ができるのは、発症の2日目から9日目までの患者となっていますが、アンケートでは感染者と接触があれば、症状がなくても使っているという施設や、特に条件を決めていないという施設が合わせて30あったということです。

学会では、偽陽性の頻度は高くはないとみられるものの、簡易キットの精度を高めるためには、正しく使用することが重要だとして、検査の特性をよく理解して正しい使い方を徹底するよう改めて周知することにしています。

新型コロナウイルスの検査

新型コロナウイルスの診断には次のような検査が使われています。

▽「PCR検査」はウイルスの遺伝子の一部を増幅して検出するため精度が高く、症状のある無しにかかわらず、鼻やのどの奥のぬぐい液や鼻のぬぐい液、それにだ液で検査を行うことができます。

▽「抗原検査」は、ウイルスに特徴的な物質を検出する検査で現在、2種類の検査法が国に承認されています。

▽このうち「抗原定量検査」と呼ばれる検査は専用の機器で抗原の量を測定するものです。症状の有無にかかわらず、鼻やのどの奥のぬぐい液や、鼻のぬぐい液、それにだ液で検査することができます。

▽「抗原定性検査」は簡易キットを使った検査です。

「PCR検査」や「抗原定量検査」よりは精度は低くなるとされ、陰性かどうかまで含めた診断に使う場合には対象となるのは症状が出て、2日目から9日目までの患者に限られています。

検体も、鼻やのどの奥のぬぐい液と鼻のぬぐい液に限られていて、だ液を使うことはできません。