北海道「警戒ステージ」引き上げ コロナ感染者増加で対策要請

北海道は、新型コロナウイルスの感染者の増加を受けて、独自に定める「警戒ステージ」を引き上げ、特別措置法に基づいて、飲酒を伴う会合などでの対策を徹底するよう道民に協力を要請しました。

北海道は、感染状況に応じて対策を行う5段階の「警戒ステージ」を独自に定めていて、これまでは最も低い「1」でした。

しかし、1日の新規感染者数が連日、最多を上回り、感染状況を判断するための指標のうち、病床のひっ迫度合いや、1週間当たりの新規感染者数が、ステージ「2」で定める基準を超えました。

このため、北海道は28日の対策本部会議で、ステージを「2」に引き上げることを決めました。

そして、28日から2週間を集中的な対策期間として
▽発熱やせきがあるなど、体調が悪い場合は外出を控えることや、
▽特に感染が広がる札幌市内での飲酒を伴う会合などでは、飲食の前後はマスクを着用して、人との距離を取り、大声を控えるなど、
感染防止対策を徹底するよう、特別措置法に基づいて道民や事業者に協力を要請しました。

鈴木知事「道民と危機感共有して対策徹底」

「警戒ステージ」を「2」に引き上げたことを受け、鈴木知事は記者会見で「社会経済活動への影響を最小限に抑えながら感染防止策を徹底したい。これ以上、感染が拡大した場合には、不要不急の外出自粛もお願いせざるを得ず、道民と危機感を共有しながら、感染拡大防止に集中的に取り組む必要がある」と述べました。

そのうえで「大切な人の命を守るためには、発熱やせきの症状があるなど体調不良の場合に外出を控えることが大事だ。マスクの着用や手洗いと併せて改めて徹底してほしい」と呼びかけました。

さらに、飲酒を伴う会合などでの対策について「飲食のときはマスクを外さないといけないが、食べるときも静かに食べてほしい。飲食の前後で話をするときはマスクを着けて会話をするなど、みんなで意識をして2週間、対策を徹底してほしい」と述べ、道民に協力を要請しました。

居酒屋からは不安や困惑の声

北海道が28日に「警戒ステージ」を「2」に引き上げたことについて、札幌市の居酒屋からは不安や困惑の声が聞かれました。

札幌市の繁華街・ススキノにある居酒屋では、これまで客が店内に入る際に、手や指の消毒を求めていたほか、座席の数を減らしたり、テーブルにアクリル板を置いたりして感染対策を徹底してきました。

「Go Toトラベル」や「Go Toイート」の効果もあって、客足は戻ってきていましたが、ここ最近の札幌市での感染者の増加を受けて、予約のキャンセルが相次いでいるということです。

こうした中、北海道が28日に「警戒ステージ」を最も低い「1」から「2」に引き上げたことについて、店主の今禎一さんは、客がさらに減少するのではと不安を感じているといいます。

今さんは「きょうもキャンセルが出ているので、以前のようにお客さんがススキノから消えて、売り上げも下がると思う。また暇になると感じている」と話していました。

一方、改めて感染対策の徹底が呼びかけられていることについては「すでに対策は徹底しているし、これ以上、何をすればよいのか」と困惑している様子でした。

さらに「感染者が増えたからステージを上げて対策を徹底するというのでは、いつまでたっても終息しない。すべて後手に回っていると、正直、思っている」と不満を語りました。

クラスター 今月だけで26件

北海道によりますと、道内では28日も札幌市と千歳市でいずれも接待を伴う飲食店での、新たなクラスター=感染者の集団の発生が発表されました。

これで28日までに発生したクラスターは合わせて65件に上り、今月に入ってからだけで、全体の4割にあたる26件に達しています。

このうち、半数以上にあたる14件は接待を伴う飲食店で確認され、うち9件は札幌市の繁華街・ススキノの店で発生しています。

ほかにも、今月は札幌市内にある芸能事務所でクラスターが発生し、所属タレントやイベントに参加した人が相次いで感染したほか、釧路市の特別養護老人ホームや、日高地方の道立高校など、道内の各地でクラスターの発生が相次いでいます。