過去最大の赤字見通しのANAホールディングス 今後の課題は

航空大手のANAホールディングスは、27日、今年度1年間の業績が過去最大となる5100億円の最終赤字に陥る見通しを明らかにしました。経営の合理化策で足元の危機を乗り切りながら、航空需要が新型コロナ感染拡大前の水準まで回復しなくても利益を出せるビジネスモデルの確立が課題となります。

ANAホールディングスが27日発表した今年度の業績予想では、グループ全体の最終的な損益が過去最大の5100億円の赤字に陥る見通しです。

国際線の利用客が9割以上落ち込むなど、危機的な経営環境を乗り切るため、ANAはコストの削減に向けて、役職員の報酬や賃金、一時金のカットなどを労働組合に提案しているほか、航空機の数を30機余り減らす方針です。

従業員の雇用を維持するため、来年春までに400人以上の従業員を食品スーパーの「成城石井」や家電量販店の「ノジマ」、それに、外部のホテルやコールセンターなどに一時、出向させるとしています。

ただ、航空需要の回復には時間がかかり、ANAは来年3月末の時点で国内線の利用客は前の年の7割程度、国際線は5割程度にとどまると見ています。また、出張などのビジネス需要はリモートワークの定着で感染拡大前の水準には戻らないとみています。

このため、主力の「全日空」の運航を縮小する一方、レジャー需要が見込める東南アジアやオーストラリアなどの中距離路線で格安航空の新しいブランドを2022年度をめどに立ち上げるほか、旅行事業や物販事業など、航空以外の分野を強化して収益を確保するとしています。

ANAをはじめ、航空各社は足元の危機を乗り切りながら、需要が新型コロナ感染拡大前の水準まで回復しなくても利益を出せるビジネスモデルを早期に確立することが課題となっています。