IATA “ワクチン 深刻な輸送力不足のおそれ” 対応求める

世界のおよそ290の航空会社が加盟するIATA=国際航空運送協会の物流部門のトップがNHKの単独インタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大で貨物輸送の容量が大幅に減っているとしたうえで、旅客機の座席を取り払って貨物目的での運航ができるようにするなど臨機応変の対応を早急に行うよう呼びかけました。

IATA=国際航空運送協会によりますと、世界人口の78億人全員に1回分のワクチンを提供する場合、その量はボーイング747型の貨物機8000機の積載量に相当するということです。

しかし、世界の貨物輸送のおよそ半分は、乗客を乗せて飛ぶ旅客機の貨物室を活用していて、パンデミックで旅客機の60%が飛ばなくなった影響で、貨物輸送の容量が大幅に落ち込んでいるということです。

これについて、IATAの物流部門のトップ、グリン・ヒューズ氏は、パンデミックの影響で運休している旅客機を再び運航するためには、機体のメンテナンスやテスト飛行などに3週間から4週間かかるとして、多くの旅客機がすぐに稼働できない現状では、仮にワクチンが完成しても深刻な輸送力不足に陥るおそれがあると明らかにしました。

そのうえで、「航空各社はマスクなどの医療物資を運ぶため、旅客機の座席を取り払い、各国の航空当局に貨物目的で運航できるよう許可を求める手続きを始めている」として、ワクチン輸送に対しても同様の臨機応変の対応を早急に行うことが求められると指摘しました。

そのうえで新型コロナウイルスワクチンの中には低温での輸送が必要になるものがあり、サプライチェーンの構築は「一企業が単独で解決できる問題ではない」として、各国の航空会社が協力して早めに準備を進めるよう呼びかけました。