「PG12」の意味 知っていますか

「PG12」の意味 知っていますか
人気マンガ「鬼滅の刃」を原作にした「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」。配給する東宝によりますと、公開初日からの3日間で342万人の観客を集め、46億円を超える記録的な興行収入となっています。このマンガが大好きな記者たち。映画の公式サイトを見ているとこんな文字を見つけました。
「PG12」
皆さんはこの意味を知っていますか。
(ネットワーク報道部 記者 馬渕安代・出口拓実/SNSリサーチ 三輪衣見子)

盛り上がる投稿と…

「鬼滅の刃」は、2016年からことし5月まで「週刊少年ジャンプ」で掲載されていた吾峠呼世晴さんの連載マンガ。大正時代の日本を舞台に、鬼に家族を殺された主人公の竈門炭治郎が、鬼になってしまった妹を人間に戻すために戦いの旅に出る物語で、魅力的なキャラクターたちが繰り広げるテンポのよいバトルシーンや、兄と妹の絆を軸にした重厚感のあるストーリーが特徴です。

SNS上では投稿が盛り上がりを見せていました。
“映画、めっちゃ良かった。めっっちゃ良かった”
“この作品は、大人が子供に向かって真剣に、言わなくては、ならない事を、描かれている作品”
一方で、中には別の視点の投稿も見られました。
“全国の親御さんたちー!娘と息子と映画を見に行くのはいいけど....鬼滅の刃って「PG12」ですからねー!”
“鬼滅の刃はPG12ってちゃんと書かれてるし見させる親がちゃんと子供を管理できることが前提なんだよなあ”
「職場の人も5歳の子どもに連れてけってせがまれて今度映画連れてくって言ってたけど、PG12だけど大丈夫ですか?って聞いたらPG12って何?みたいな反応された」
飛び交う「PG12」の文字。
皆さんはこの言葉の意味、正しく知っていますか。

映倫に聞きました

「PG12」とは何なのでしょうか。
PG12の「PG」は、英語の「Parental Guidance」の略で、「ピージー12(じゅうに)」と読みます。

実は日本の映画館で一般公開されている映画の大半は第三者機関の映画倫理機構にある映画倫理委員会によって審査され、4つのカテゴリーに区分されています。

「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」について映倫は「簡潔な刀剣による殺傷・出血の描写が見られPG12区分に指定します」としています。
「映画を観る前に確認をお願いします」と書かれたこちらのポスター。区分表示の4種類のマークが掲載され、「それぞれのマークには伝えたい大切な意味があります」とも。
このうち「PG12」には「小学生には助言・指導が必要」という説明がありました。

さらに映画倫理機構のホームページには、次のように書かれています。
「刺激的で小学生の観覧には不適切な内容も一部含まれている。一般的に幼児・小学校低学年の観覧には不向きで、高学年の場合でも成長過程、知識、成熟度には個人差がみられることから親又は保護者の助言・指導に期待する区分である」
「観覧には不向き?12歳未満の子どもは見てはいけないの?」と勘違いする人も出てきそう。

少し分かりにくいので、助言や指導というのはどういうことなのか、映画倫理機構に話を聞いてみました。

対応してくれた事務局長は、「それぞれの映画によって内容が異なるので一概には言えませんが」と断ったうえで、次のように答えました。
映画倫理機構 石川知春事務局長
「12歳未満の子どもは、見てはダメということではなくて、親や保護者の方に子どもに見せても大丈夫かどうか、見せるか見せないか判断してもらうということです。
心配であれば見せないという判断もありますし、見せてもいいという判断でも、一緒に観覧し、見終わった後に『現実にはありえない話だよ』というふうに丁寧に説明してもらうのが望ましいと思います」
つまり、12歳未満の子どもに見せないでということではなく「子どもに見せていいか、親や保護者が判断してください」というメッセージだということでした。

映像見てなぜ“こわい”?専門家に聞いてみた

そもそも子どもたちの中には何らかの映像を見て「こわい」と言って泣きだしてしまう子もいますよね。なぜなのでしょうか。

子どもの心のケアを行う国立成育医療研究センターの田中恭子医師に聞きました。
田中医師によりますと、4歳から6歳くらいまでは他人の視点に立つ、ということを理解する発達の途中で、まだ自分の持っている知識や視点を中心にすることでしか物事をうまく捉えられないと言います。

このため、特にこうした年齢の子どもたちの中には周囲で起きていることを自分と関連のある出来事だと誤解する場合があり、映像を見て「こわい」と感じるのではないかと指摘しています。

テレビの映像を見た娘が…

テレビやスマートフォンで簡単に番組や動画が見られる社会。実際に自分の子どもに起きた過去の体験から、ツイッターで注意を呼びかけている女性もいます。

「未就学児をもつ親御さんに絶対に気をつけてほしい事」という書き出しで始まる投稿。3年前、当時6歳だった長女が、テレビをつけたままうたた寝をしていた夫の横で偶然目にしてしまった映像をきっかけに、様子がおかしくなってしまった体験がつづられています。
スアさんの投稿
“『ピアノの先生の腕にある痣が自分にも感染る』と言って突然泣き出したり、『道路にあるタバコのシミや落ちて潰れた木ノ実のシミを踏んだら死ぬ』って言いだしたり、『すれ違う人がみんな私を見ているこわい!』と言い出して泣き出す始末”
スアさんの投稿
“24時間寝る時間以外ずっと手や足に何かが触れる度に泣き叫び、寝ていても突然起きて叫び暴れる娘を無理やり抱きしめながら気力も体力も限界になってしまった私は『もうこの子と死にたい』ってぼろぼろ泣いてしまったのを今でもよく覚えてる”
投稿したスアさんに直接、電話で話を聞きました。
スアさん
「自分の家族のような体験をしてほしくないと思い、投稿しました。当時は病院の精神科など、さまざまなところに駆け込み、子どもの様子などを説明しましたが『映像によるショック症状だろう。治るかどうか分からない』と言われ、本当にどうしようか追い詰められていました」
その後、長女は3か月ほどカウンセリングに通って徐々に落ち着きを取り戻し、3年たった現在は、すっかり当時のことを忘れているということです。

ただ、スアさんは、この出来事をきっかけに子どもに見せる映像に対しての意識が変わったと言います。
スアさん
「この出来事があるまでは、子どもに不適切な映像は見せないほうがいいだろうと軽く考えていました。でも、この経験から子どもは簡単に壊れてしまうんだと思いました。子どもの安全を守ってあげられるのは親しかいないので、子どもに関しては親が一緒に映像を見るとか、何を見ているのか把握することが必要だと思います」

上手なつきあい方を知ろう

子どもたちがもしも「こわい」と感じた場合の対応について再び、国立成育医療研究センターの田中医師に聞きました。
国立成育医療研究センター 田中恭子医師
「こわいと感じたら我慢したり繰り返し戻って見たりするなど、大人の価値観をぶつけて子どもに見続けることを強いることは絶対にしないということが大切だと思います。またこわいと感じる経験をしても、子どもの好きな遊びや、3食を食べること、そして家族の時間をとるなど、ふだんどおりの日常を取り戻すことで、誤解にもとづく恐怖から逃れることはできます。お子さんと一緒に過ごし、安心と安全を取り戻せるような日常の関わりが重要です」
幼い子どもに「こわい」思いをさせないための上手なつきあい方はどんなものなのでしょうか。
田中医師によりますと、あらかじめ子どもが見られる映像に制限をかけておくことや、その必要性について家族の中で再確認しておくことが重要だと言います。

また子ども1人で見るのではなく、親が一緒に見てあげることも大切だと指摘します。
国立成育医療研究センター 田中恭子医師
「なるべく子どもが1人で見る時間を減らすことが大切です。また、子どもの反応は多様性に富みます。大人の価値観を子どもに一方的にぶつけるのではなく、家族で一緒に見る際も子どもが『これを見たい』と言った動画や映像について、事前に親からある程度の情報を与えてこわがらなさそうか確認するなど家族の中で話し合いながら工夫してほしいです」

【映画4区部の概容】(映画倫理機構HPより)

【G】マーク
年齢にかかわらず誰でも観覧できる
G:General Audience(すべての観客)の略号

この区分の映画の主題又は題材とその取り扱い方は、小学生以下の年少者が観覧しても動揺やショックを受けることがないように慎重に抑制されている。簡潔な性・暴力・麻薬や犯罪などの描写が多少含まれるが、ストーリー展開上で必要な描写に限られ、全体的には穏やかな作品である。G区分の作品には、より大人向けの作品もある。一方、幼児、小学生が観覧の主体となる作品では、より慎重
な描写、表現がなされている。
【PG12】マーク
12歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要
PG:Parental Guidance(親の指導・助言)の略号

この区分の映画で表現される主題又は題材とその取り扱い方は、刺激的で小学生の観覧には不適切な内容も一部含まれている。一般的に幼児・小学校低学年の観覧には不向きで、高学年の場合でも成長過程、知識、成熟度には個人差がみられることから、親又は保護者の助言・指導に期待する区分である。
【R15+】マーク
15歳以上(15歳未満は観覧禁止)
R:Restricted(観覧制限)の略号

この区分の映画は、主題や題材の描写の刺激が強く、15歳未満の年少者には、理解力や判断力の面で不向きな内容が含まれている。従って、15歳以上の観客を対象とし、15歳未満は観覧禁止とする。
【R18+】マーク
18歳以上(18歳未満は観覧禁止)
R:Restricted(観覧制限)の略号
この区分の映画は18歳以上の観覧に適する。主題又は題材とその取り扱いは極めて刺激が強く、このため18歳未満は観覧禁止とする。