警戒レベル上から2番目維持も警戒必要 東京都モニタリング会議

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、感染状況の警戒のレベルを上から2番目の表現で維持しつつも、新たな感染の確認などが高い水準のまま推移しているとして、今後の動向に警戒が必要だと呼びかけました。

会議では、都内の感染状況の分析結果が説明され、21日までの7日間平均はおよそ172人で、前の週のおよそ181人から横ばいだったと報告されました。

そのうえで都の専門家は、警戒のレベルについて、4段階のうち上から2番目の表現を7週連続で維持し、「感染の再拡大に警戒が必要であると思われる」と評価しました。

一方で、新たな感染の確認などが高い水準のまま推移しているとして、今後の動向に警戒が必要だと呼びかけました。

具体的には、感染予防策の基本である手洗いやマスクの着用、3密を避けるなどを改めて徹底する必要があると指摘しています。

このほか、医療提供体制については「入院患者数の急増にも対応できる病床の確保が依然として必要な状況だ」などと報告され、「体制強化が必要であると思われる」という上から2番目の表現を16週連続で維持しました。

専門家の分析

22日のモニタリング会議の中で示された都内の感染状況と医療提供体制についての分析結果です。

感染状況

まず、感染状況についてです。

新たな感染の確認は21日までの7日間の平均で171.7人で、前の週からの「増加比」は92.8%でした。

前回、1週間前の会議で示された「増加比」の116.5%からは低下しましたが、専門家は「100%前後で推移することは新たな感染が高止まりとなることを意味している。現時点で欧米のような急激な感染拡大は認めていないが、高い水準のまま新たな感染が増加することに警戒が必要だ」と分析しています。

また、専門家は、週当たりでは1200人を超える高い水準で推移しているほか、およそ2か月ぶりに1日の感染の確認が280人を超える日もあったと指摘。
「さらなる増加に警戒が必要である」と述べました。

10月19日までの1週間で年代別の割合をみると、20代が最も多く24.4%、次いで30代が19.8%、40代が15.8%、50代が12.3%、60代が7.6%、10代が6.4%、70代が5.7%、80代が4.8%、10歳未満が2.0%、90代以上が1.3%でした。

前の週と大きな変化はありませんでしたが、65歳以上の高齢者の割合は15.1%と前の週より2.4ポイント高くなりました。

感染経路が分かっている人のうち、家庭内での感染が37.4%で少なくとも12週連続で最も多くなったほか、次に多い施設内は22.7%で前の週より1ポイント高くなりました。

このほか、職場内は12.4%、会食は9.7%、夜間営業する接待を伴う飲食店は5.6%でした。

専門家は「年末に向け大人数での会食の機会が増えることが想定される」として、人と人が密に接触することやマスクを外して長時間飲酒や飲食を行うこと、大声で会話をすることなどはリスクを伴うため、対策を徹底するよう呼びかけました。

さらに、今週も、複数の病院や高齢者施設、大学の運動部や劇団などでクラスターの発生が報告され、専門家は「第一波の時のような大規模なクラスターの発生ではないものの、院内・施設内の感染拡大を防ぐ対策の徹底が必要だ」と指摘しました。

また、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などで無症状や症状の乏しい職員を発端とした感染が見られることを明らかにして、厳重な警戒が必要だなどと訴えました。

医療提供体制

続いて、医療提供体制です。

入院患者は、21日時点で990人で、1週間前・今月14日の時点より18人減っています。

専門家は「入院患者の急増にも対応できる病床の確保が依然として必要な状況で、医療機関への負担が強い状況が長期化している」と指摘しました。

また、都の基準で集計した重症患者は21日時点で24人でした。

前回・1週間前は25人で、専門家は「横ばい」だと評価しています。

24人を年代別にみると、50代と70代がそれぞれ7人、60代と80代がそれぞれ5人で、性別では、男性が17人、女性が7人でした。

また、10月19日までの1週間で都に報告された亡くなった人は15人で、前の週から7人増加しました。

15人のうち12人は70代以上です。

専門家は「引き続き注視する必要がある」と指摘しました。

小池知事「同時流行避ける対策 徹底する」

東京都の小池知事は「モニタリング会議」の後、記者団に対し、「インフルエンザの季節に入り、新型コロナウイルスと両方の対策が必要だ。マスクや手洗い、3密を避けるといったことを心がけてもらうことで同時流行を避ける対策を徹底していく」と述べました。

また、会議に出席した東京都医師会の猪口正孝副会長は、都内の医療提供体制について「外国の例を見ると、高い水準からさらに感染が爆発して入院患者が増えている。都内でも病床を確保していなくてはいけない状況がずっと続いている」と述べました。