変わる“保活” コロナ影響で保育所見学 中止や制限相次ぐ

来年の春から、子どもを認可保育所に預けようという人たちの申請の受け付けが順次始まっています。ことしは新型コロナウイルスの影響で、園内見学の中止や制限が相次ぎ、保育所を探す「保活」も様変わりしています。

新年度の認可保育所の入園申請は、多くの自治体が、前の年の秋ごろから受け付けを始めています。

東京の渋谷区役所では、今週から受け付けを開始し、22日も保護者が次々に訪れて、希望する保育所を書き込んだ申込書を提出していました。

渋谷区では、毎年1700件以上の申請があるということで、申請は来月いっぱいまで受け付けられます。

申請した母親の1人は「感染対策が十分かどうかも気にしながら、希望の保育所を選びました」と話していました。

ことしは新型コロナウイルスの影響で、希望する条件にあった保育所を探す「保活」が様変わりしています。

感染防止の観点から、事前の園内見学を中止、または制限する保育所が相次いでいることなどが理由です。

先月、民間のIT企業が都内で行った調査によりますと、保活を行う母親のおよそ8割がコロナの影響を受けていると答え「保育園見学を受け付けてくれない」「外出自粛などで保活が遅れている」といった声が多数上がっています。

保活をめぐっては、待機児童の問題が徐々に改善してきているものの、コロナによって新たな課題が浮上しています。

保活アドバイザーの山下真実さんは「保育所側は、少しでも施設内や子どもの様子が分かるよう、映像や画像を発信してコロナ禍で保活に励む親御さんを支援してほしい」と話しています。

保活母親の8割がコロナの影響

先月、東京のIT企業が都内で「保活」を行っている、母親300人余りにインターネット上で調査を行った結果、82.4%の人が新型コロナウイルスの影響を受けている、もしくは、やや影響を受けていると答えました。

具体的には、
▽「保育園見学を受け付けてくれない」と答えた人が最も多く43.9%
▽「外出自粛などの影響による保活の遅れ」が39.1%
▽「1日の見学受け付け数に上限があり、すぐに見学ができない」が38.4%などとなっています。

また、コロナ前に「保活」を行った母親と、ことし保活を行っている母親とで、保育所見学の実施率を比較すると、
▽コロナ前は86.1%だったのに対し、
▽ことしは68.3%と、17ポイント余り減少しています。

調査を行ったIT企業のROLLCAKEは「コロナ禍の保活では、今も解決すべき課題が山積していることが、改めて浮き彫りになった」と話しています。

見学制限され十分な情報得られず

保活を行う保護者の中には、見学が制限され十分な情報が得られなかったという人も少なくありません。

東京 港区に住む楠本梨紗さん(31)は、来年4月から1歳の長男、耀くんを認可保育所に預けて仕事に復帰しようと、保活を行っています。

梨紗さんは、区内の保育所に事前見学の申し込みを行いましたが、感染予防のため、入り口付近だけに限定されました。

見学では十分な情報が得られず、SNSで各保育所の評判などを検索したり、すでに子どもを保育所に預けている母親に相談したりして、情報を集めているといいます。

梨紗さんは「もの足りない、あるいは半分も知れていないという感覚はあります。どういう日常を送っているのか、リアルタイムで情報を発信してもらえるとありがたい」と話しています。

施設の紹介動画やオンライン見学会も

各地の自治体や保育所では園内の見学会に変わる、新たな取り組みを始めています。

東京 墨田区は区立の認可保育所、すべての見学を中止にしたかわりに、それぞれの園の施設や特徴を紹介する動画を作成し、動画投稿サイト「YouTube」で公開しています。

中には、アレルギーに対応した食事をとれるかや、何度の発熱で園から連絡が来るのかなど、保護者から寄せられることの多い質問に一つ一つ答える保育所もあります。

また、オンラインで見学会を行う保育所も出てきています。

東京 板橋区の、さいわい保育園では6月からタブレット端末を使って、園内の様子を生中継しています。

新型コロナウイルスの感染防止に向けて、どのような対策を行っているか、子どもと保育士との信頼関係を築くために、どんな取り組みを行っているかなど、保護者が知りたいポイントを伝えています。

さいわい保育園の鈴木香織園長は「園の中を見ないと雰囲気が分からないという声などを受け、オンライン見学会を開いている。よいところだけを見せるのではなく、自然な形で、ありのままの様子を伝えるよう心がけている。オンラインなら、仕事で忙しい人も参加しやすいというメリットも感じたので、今後も続けていきたい」と話しています。

保活アドバイザー「一人で抱え込まずに相談を」

見学が制限されるなど新型コロナの影響を受ける中で、どのように保育所を選んでいけばよいのか。

保活アドバイザーで、子育て支援サービスを展開する山下真実さんは「保育所選びに困っている保護者も少なくないと思うが、中が見学できなくても、まず足を運ぶことが大事だ。距離感や周辺環境など、少しでもイメージを膨らませることができるため、ぜひ、実践してもらいたい」と話しています。

また保育所側については「少しでも施設の中や、子どもの様子がわかるような映像や画像を発信して、コロナ禍で保活に励む親御さんを支援してほしい」と呼びかけています。

そのうえで「保育園選びについての相談は、もともとコロナ前からも非常に多かった。それがコロナによって一層難しくなっているのだと思う。不安があれば一人で抱え込まずに、周りの人や専門家に相談してもらいたい」と話していました。