東京五輪・パラ 保安検査の実証実験 新たな検温方法も

東京五輪・パラ 保安検査の実証実験 新たな検温方法も
来年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、観客などが入場する際の保安検査の実証実験が東京 江東区で行われました。感染対策とスムーズな検査の両立が課題で、21日は「検温シール」と呼ばれる新たな検温の方法なども試されました。
新型コロナウイルスの感染拡大後、初めて行われた今回の実証実験には、本番で保安検査にあたる民間の警備員などおよそ1000人が参加しました。

これまでは暑さ対策が大きな課題でしたが、今回は感染対策とスムーズな検査の両立に重点が置かれ、観客どうしの距離の確保や検温の実施によって検査にどのくらい時間がかかるのか、さまざまな想定で実験が行われました。

特に、検温をいかに効率的に行うかが課題となっていて、21日は非接触型の体温計やサーモグラフィーに加え、「検温シール」と呼ばれる新たな方法も試されました。これは手首などにシールを貼り、色の変化で熱を測るもので、検査を待っている間に検温できるため、時間の大幅な短縮が期待できるということです。

組織委員会では、今回の検証結果などを踏まえて保安検査の具体的な方法や態勢を決めることにしています。

組織委員会の岩下剛警備局長は「感染対策が加わったことでどれだけ検査に負担がかかるか、実際に検証することができた。円滑な入場と安全の確保が両立できるよう、今後準備を進めたい」と話していました。

コロナで検査方法など見直しへ

新型コロナウイルスの影響で感染対策が新たな課題となる中、保安検査の具体的な方法や態勢が決まるのは状況によっては本番直前になる可能性もあるということです。

組織委員会は今回、警備の強化と検査時間の短縮を図るため、大会史上初めて最新の顔認証システムを導入するなど、スムーズな検査の実施に向けた準備を進めてきました。しかし、感染対策が新たに必要になったことで、検査方法やスケジュールの見直しを迫られています。

組織委員会では、検温の方法の違いやボランティアの有無などによって合わせて44ものパターンを想定し、一つ一つ実証実験を行っている段階だということです。

また、今回は暑さ対策として、過去の大会ではテロを防ぐ観点から禁止されていたペットボトルの持ち込みが条件付きで認められました。

検査では、有害な液体でないことを確かめるため観客に中身を飲んでもらうことにしていますが、前例がない中で検査をスムーズに行う態勢をどう確保するかも課題となっています。

こうした中、保安検査の具体的な方法や態勢が決まるのは状況によっては本番直前になる可能性もあるということで、組織委員会は感染の状況を見極めつつ、国などと協議して判断したいとしています。