東京女子医科大学病院 2歳の男児死亡で医師6人 書類送検へ

東京女子医科大学病院 2歳の男児死亡で医師6人 書類送検へ
k10012673171_202010210544_202010210604.mp4
6年前、東京女子医科大学病院で人工呼吸器をつけた子どもへの使用が原則禁止されている鎮静薬を投与された2歳の男の子が死亡したことについて、警視庁は容体の異変に気付かず薬の使用を続けたなどとして担当した医師6人を21日にも業務上過失致死の疑いで書類送検する方針を固めました。
6年前の2014年2月、東京・新宿区の東京女子医科大学病院で首の腫瘍の手術を受けたあと人工呼吸器を付けて集中治療を受けていた2歳の男の子が、鎮静薬「プロポフォール」を投与されたあと死亡しました。

「プロポフォール」は人工呼吸器を付けて集中治療が行われている子どもへの使用が原則として禁止されていましたが、警視庁のこれまでの調べで男の子には70時間以上にわたって投与されていたことが分かっています。

捜査関係者によりますと、心電図の波形や尿の色などに変化が出て体調に異常が認められたにもかかわらず、病院側は薬の使用を中止したり別の薬に切り替えたりする措置をとらなかったということです。

警視庁は男の子の容体の変化を適切に把握しないまま薬の使用を続けたなどとして当時担当していた医師6人を、21日にも業務上過失致死の疑いで書類送検する方針です。

男の子の両親は医師や看護師に対して賠償を求める訴えを起こしていて民事裁判が続いています。

男児の母親「何が起きていたのかを明らかに」

死亡した男の子の母親がNHKの電話インタビューに応じました。

母親は「設備がしっかりした大学病院に預けたのに、突然息子を失うことになってしまいました。これまでの6年余りは、なぜ息子が死ななければならなかったのか、その答えをひたすら求め続ける日々でした。担当した医師ひとりひとりに説明を求めたいし、当時、何が起きていたのかを明らかにして、最終的には刑事裁判の場で判決が出されるように願っています」と話していました。

厚労省 安全管理不十分と指摘

「プロポフォール」は人工呼吸器を付けて集中治療が行われている子どもなどに対しては原則として使用が禁止されていますが、法的な拘束力はなく合理的な理由があれば使用すること自体の責任を問われることはありません。

東京女子医科大学病院では男の子が亡くなるまでのおよそ6年間に14歳以下の子ども60人以上にプロポフォールが投与されていたことが分かっています。

医療の現場ではほかの薬の場合でも、効き目が大きいなどのメリットがあれば、本来は禁止されている患者にも例外的に投与することがあるのが実態だといいます。

ただ、東京女子医科大学病院では医師などがプロポフォールの危険性を認識しておらず、厚生労働省の分科会は薬を投与する際に妥当性やリスクの検討が不十分で手術後の患者に対する処置を適切に行うための研修や教育など安全管理の体制も確保されていなかったと指摘しています。

専門家「漫然と使用 重大な問題があった」

医薬品の適正な利用に詳しい東京大学大学院の小野俊介准教授は「本来は使用を控えるべき薬を患者の治療を優先するためにあえて使用することはプロポフォールに限らずあるが、今回のケースは漫然と使用を続けて適切な対処をしておらず重大な問題があったと言わざるを得ない。副作用に対する配慮などが、十分ではなかったのではないかと考えられる」と話しています。