建築家 ル・コルビュジエが改修した船 日本の支援で引き揚げ

建築家 ル・コルビュジエが改修した船 日本の支援で引き揚げ
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世界を代表するフランスの建築家、ル・コルビュジエが90年余り前に改修した船が、日本の建築家らの支援でパリのセーヌ川から引き揚げられ、今後船上ギャラリーとして再生されることになりました。
この船は、世界文化遺産に登録された東京の国立西洋美術館などの設計で知られる、ル・コルビュジエが90年余り前に改修したもので、水平な連続窓などみずから提唱した近代建築の要素が盛り込まれフランスの文化財にも指定されています。

しかし、おととしのセーヌ川の増水で浸水し、そのまま放置されてきました。

この船の設計には、日本の現代建築の礎を築いた建築家の前川國男もル・コルビュジエのもとで関わっていたことから、日本の建築家でつくる学会がことし8月、この船を買い取って再生させることを決めました。

そして今月から、ポンプで水を抜くため船体の穴を塞ぐ作業が始まり、19日、船は2年半ぶりに引き揚げられました。

今後、2年かけて船内を復元し、船上ギャラリーとして再生したうえで、フランス側に引き渡されるということです。

当初からこの計画に関わってきた神戸大学大学院の遠藤秀平教授は、「この船は日本とフランスの交流、建築文化の原点です。しっかりと残して、両国の文化交流の拠点にしたい」と話しています。

またフランスのル・コルビュジエ財団のブヴィエ館長は、「この日を待ち焦がれていました。両国の連帯が生き続けていることに感謝の思いでいっぱいです」と述べ引き揚げを喜んでいました。

引き揚げられた船

今回、引き揚げられた船は、第1次世界大戦中のフランスで、セーヌ川を使って石炭を輸送するため、大量生産されたコンクリート製の船です。

戦後、この船を難民のための避難船として改修することになりこの設計を引き受けたのが、「近代建築の巨匠」、ル・コルビュジエでした。

柱で支えられた「ピロティ」と呼ばれる空間をつくり、窓を横に連続させることで明るい光が差し込むように工夫するなど、みずからが提唱した近代建築の要素が盛り込まれています。

当時、ル・コルビュジエの下では、日本の現代建築の礎を築いた前川國男が学んでおり、この船の設計にも関わっていたことがわかっています。

1995年まで難民などの避難船として使われたこの船は、引退後、廃船にすることも検討されましたが、貴重な文化財として保存すべきだとして、フランスの建築家らとともに、神戸大学大学院の遠藤秀平教授が再生させる計画を進めてきました。

しかし、船内などの修復がほぼ終わったやさきのおととし2月、セーヌ川の増水で船は接岸されたまま沈没し、再生計画は宙に浮いた状態となっていました。

こうした中、前川國男が設計した東京の国際文化会館が1億8000万円の助成金を出しこの船の復活プロジェクトが始まります。

ことし8月には、この船を「日本建築設計学会」が買い取ったうえで、再生させる計画がフランス側に認められ、引き揚げに向けた作業が行われてきました。