変わる副業~本業だけであなたは満足?

変わる副業~本業だけであなたは満足?
「1つの会社で定年まで働き続ける」。そんな考え方はもう時代遅れなのかもしれません。企業の中でも認めるところが増えている副業。在宅勤務など新型コロナウイルスの影響で今、これまでの働き方が見直されるなかで、副業が注目されています。(おはよう日本 岡本潤)

“スキルシェアサイト”で気軽に副業

都内のIT企業に勤める冨士綾香さん(25)は、日頃は企業の研修教材「eラーニング」のデザインをしています。冨士さんはことし2月に副業を始めました。副業では本業のスキルを生かし、企業が使う資料やWEB雑誌のデザインなどを手がけています。3月からは会社が在宅勤務になり、より多くの時間を副業に割くようになりました。
冨士さんが活用しているのが、いわゆる「スキルシェアサイト」です。個人の趣味や特技を「商品」として出品できるサイトで、現在、約200のカテゴリーで、40万件ほどの案件が出品されています。利用者の増加に伴って去年12月に比べて現在の掲載件数は50%増加。背景には新型コロナウイルスの影響があると言います。
「スキルシェアサイト」ココナラ 広報チームリーダー 柳澤芙美さん
「収入が減ったり、在宅勤務が増えたりしている状況で、副業にチャレンジする人が増えていると分析しています。本業のスキルを生かしたものや、自分の趣味を商品として出品する人などさまざまです」
冨士さんも「プレゼンテーション用の資料をつくります」などとして、1件数千円でサイトに出品しています。ことし2月は2万円余りだった売り上げが、3月以降は10万円を超えることが多くなりました。月に20万前後になることもありますが、「副業の魅力はお金だけじゃない」といいます。
冨士さん
「収入面で楽になったのは大きいですが、お客さんから『こんなデザインができると思ってもみなかった』ということばをいただけるのがすごくうれしいです。副業はお金をもらって経験と人脈を得られる可能性のある選択肢だと思います」

副業で夢を実現

「副業で夢を実現した」という人もいます。
仙台に住む小山未紗さん(28)。都内のIT企業に勤務していますが、10月、ふるさとの仙台市に引っ越しました。趣味が高じて、ふるさとに自分の店を副業で出店することになったのです。
小山さんの趣味とは「手芸」。仕事の合間など、ちょっとでも時間ができると編み物をしています。特にオリジナルの糸を紡ぐ作業は地道ですが、すべての手芸作品のもとになるものなので、大事にしているということです。
小山さんはこれまでもインターネットや、各地の催しなどで作品を販売していて、売り上げは月数万円程度。そんな中、だんだんと「自分の店を持ちたい」という思いが膨らんでいったといいます。

ただ、都内の物件は賃料が高く、手が出ないものばかり。店を出すとなると、本業を続けるのは難しいかもしれない一方で、店だけで生活できるのかも分からない。なかなかふんぎりがつかない日が続きました。
そこに大きな転機が訪れます。会社がリモートワークになり、東京に住む必然性がなくなったのです。ちょうど、そのころ、ふるさとの仙台市内に手ごろな物件を発見。

これはもう決断するしかない…。もし会社に聞いて、ダメだと言われたら辞めてでも…。でも本業にもやりがいを感じているし…。恐る恐る会社に相談すると、あっさり「副業でオープンさせてよい」との許可がおりました。
小山さん
「『お店を出す日がくるなんて』と驚きましたが、『副業でやってもよい』と言ってもらえたのが大きかったです。本業があるのとないのとでは、チャレンジする上で精神的な安心感が全然違います」
物件の近くに家も借りて準備は万端。10月中のオープンに向け、今は内装の手入れなどを行っています。地元の幼なじみが手伝いに来てくれるのもふるさとならです。
小山さんの幼なじみ 山本 栞さん
「昔から手芸をやっていて、やがては仕事にするのかなと思ってはいましたがお店を出すなんて、『これ副業なのかな?』というレベルですごいなと思います」
当面は午前9時から午後3時まで本業をリモートで行いながら、週末限定で開店する予定で、空いている時間には糸紡ぎ体験や手芸教室も開いていきたいそうです。経営はうまくいくのか。本業との両立は。不安は尽きませんが、地域で愛される店にしていきたいと考えています。
小山さん
「毛糸を染めたり編んだりするのも自分、会社員として働くのも自分です。欲張りなので、やりたいことを全部できる時代でよかったなと思います」

課題は

さまざまな形を見せはじめている副業。こうした状況を、働き方の問題に詳しい日本総合研究所の小島明子さんは前向きに評価しています。
小島さん
「感染が収束しない中で、副業を通じて新たなスキルや経験を得ることは自身の価値を上げることにつながります。今後、社会や働き方が変化しても、あらゆる状況に対応しやすくなります」
ただ、手放しで歓迎できないのが長時間労働の可能性です。厚生労働省も、副業などの時間を把握し、長時間労働を防ぐとした新たなガイドラインを9月に導入するなど、労働時間の管理が課題となっています。

ただ、こうした管理も働く人からの「自己申告」に基づくため、厳密に管理しづらいという声もあります。小島さんは「自己管理が何より重要だ」と指摘しています。
小島さん
「働く人自身が仕事の優先順位をつけながら、進め方を見直していく必要があります。リモートワークが浸透している中で、効率化できる部分は効率化しながら、時間の管理をしていくことが求められます」

人生を豊かに

「お金を稼ぎたい」。「スキルを磨きたい」。働く目的は人それぞれです。今回取材した人たちが生き生きと2つの仕事に取り組む様子は強く印象に残りました。

今後、副業がさらに広がっていけば、自分の好きなことや得意なことを見つめ直し、働き過ぎにならないように注意しながら、複数の仕事に取り組んでいく。そうすることで人生を2倍、3倍豊かにしていく。そんなことが当たり前になる時代が、すぐそこまで来ているのかもしれません。
おはよう日本
岡本 潤
平成22年入局
岐阜局、鳥取局、広島局などを経て
現在、おはよう日本の水曜日を担当