社会

タクシー 乗客がマスク拒否で乗車断れるよう 複数社が国に申請

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、都内の複数のタクシー会社が、利用者が正当な理由なくマスクの着用を拒否すると運転手が乗車を断ることができるように国に申請し、国が近く審査結果を伝える方針であることがわかりました。認められれば、業界全体に広がる可能性があります。
タクシーは、泥酔している場合や利用者が運転手に対して暴力を振るう場合などを除き、道路運送法で乗車を拒否してはならないと定められていて、マスクをつけていない利用者がいても乗車を断ることができないのが実態です。

このため東京都内の大手タクシー会社や個人タクシーなど10の事業者は、感染拡大を防止するため、新たな対策を国土交通省関東運輸局に申請しています。

申請している会社によりますと、酒に酔って複数で乗り込む利用者で、助手席と後部座席に座ってマスクをつけずに大声で話をするなど、運転手が不安を覚えるケースがあるということです。

新たな対策は、利用者が正当な理由なくマスクの着用を拒否すると、運転手が乗車を断ることができるように、運送約款と呼ばれる会社ごとに定めるルールを変更するというものです。

国土交通省は、申請された約款の審査をしていて、近く結果を伝えることにしています。

認められればタクシーやバスの業界に広がる可能性があります。

申請のタクシー会社「むげに乗車拒否する内容ではない」

運送約款の変更を申請した都内のタクシー会社、日の丸交通です。675台のタクシーを保有し、運転手は1650人います。

この会社では、新型コロナウイルスの感染対策として、透明のカーテンやアクリル板を設けたほか、乗客が降りるごとに料金を置く台を消毒することにしていますが、ことし5月に緊急事態宣言が解除されて以降、運転手から「利用者がマスクをつけずに大声で話している。感染が不安だ」という訴えや、「妻が妊娠しているので心配だ」といった声が相次いでいるということです。

先月、この会社では、マスクをつけていない利用者がどのくらいいるのかをドライブレコーダーの映像をチェックして確認する調査を行いました。

各営業所ごとに3日分チェックした結果、利用者2843人のうちマスクをつけていたのは81%にあたる2305人で、19%の人はマスクをつけていませんでした。営業所によってはマスクをつけていた人が75%前後のところもありました。

このため会社では、運送約款と呼ばれる会社ごとに定めるルールをマスクの着用を求めることができるように変更する申請を国土交通省関東運輸局に申請しました。

日の丸交通の富田和孝社長は、「決してむげにお客さまを乗車拒否するという内容ではありません。マスクを常備して、お客さまがしていない場合はこれをつけてくださいと渡して、それでもマスクをつけないお客さまの場合はお断りする場合があると、そういうような内容になっています」話していました。

その他の交通機関でもマスク着用呼びかけ

国内の航空各社でつくる「定期航空協会」は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、空港と機内では、着用が難しい理由がある場合を除いて、マスクの着用を求めることなどを周知しています。

これを受けて航空各社では、理由の説明がなくマスクの着用に応じない場合は、搭乗を断ることも含めてきぜんとした対応をすることにしています。

また、鉄道各社でつくる「鉄道連絡会」でも、マスクを着用し車内での会話を控えめにするよう呼びかけています。

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