レムデシビル 「効果認められない」WHOが暫定的結果を発表

レムデシビル 「効果認められない」WHOが暫定的結果を発表
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新型コロナウイルスの治療薬として日本で特例承認されている抗ウイルス薬のレムデシビルについて、WHO=世界保健機関は、国際的な臨床試験を行った結果、入院患者の死亡率の改善などには「ほとんど効果が認められないか、全く効果が認められなかったようだ」とする暫定的な結果を発表しました。
これについて開発したアメリカの製薬会社は、WHOのデータは厳格な検証をまだ受けていないもので、これまで別の臨床試験で示された有効性と矛盾しているなどとする声明を発表しました。
WHOは15日、30か国の405の病院で新型コロナウイルスに感染して入院中の患者1万1266人を対象に実施したレムデシビルなどの臨床試験の暫定的な結果を発表しました。

このうちレムデシビルについては、投与したグループと投与しなかったグループそれぞれ2700人余りの経過を比較しましたが、患者の死亡率の改善や入院期間が短縮するかどうかについて「ほとんど効果が認められないか、全く効果が認められなかったようだ」としています。

開発の米製薬会社が声明

レムデシビルをめぐっては、アメリカ国立衛生研究所などの研究グループが今月8日、国際的な臨床試験の最終報告を公表し、新型コロナウイルスの患者の回復にかかる期間を短縮し重症化を防ぐ効果を期待できるという結果を発表していました。

レムデシビルを開発したアメリカの製薬会社、ギリアド・サイエンシズは15日、声明を発表し、WHOのデータは厳格な検証をまだ受けていないもので、これまで別の臨床試験で示された有効性と矛盾しているなどとして、懸念を示しています。

WHOは今後も、治療法の確立につなげるため、別の治療薬の臨床試験を進めていくとしています。

専門家「冷静な目で見る必要」

レムデシビルについて、WHOが国際的な臨床試験の暫定的な結果を発表したことについて、日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は、「今回発表されたデータは多くの症例に基づいていて、結果は注目すべきだ。ただ、現在公表されているデータは正式な論文になる前のもので、科学的には、研究方法などがきちんと検証され論文として発表されるまでは、結果について冷静な目で見る必要がある。レムデシビルの評価が定まるには、ほかの研究も含めて多くの検証が必要だと考えられる」と指摘しています。